【ジョジョ4部】蠱惑的インクルージョン (ページ17)

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「よぉ。飯食いに行こうぜ」

Aの前に立った億泰がそう言った瞬間、教室がにわかにざわついた。

彼は何てことはない顔をしているが、事情を知らないクラスメイトからすればAが絡まれているように見えるのだろう。

A本人はその事情をなんとなく察したので、億泰と連れ立って教室を出た。

「東方くんのクラスに行くんじゃあないの？」
「今日は実習室で食うんだよ。昼休みの前にも後にも授業がねーから、穴場なんだぜ」

昼食は席の近い女子と食べていたから、休み時間の穴場スポットなんて探したこともない。
中等部も併設されている校舎はかなり広いので、開拓すればあちこちに過ごしやすい場所が見つかりそうだ。

「億泰くん！今日は元気そうだね」

無人かと思った教室には先客がいた。仗助ともう一人。

声質に違わず小柄な男子は、億泰の後ろにいたAに目を止めた。

「昨日の！Aさん、だったよね。あれから大丈夫だった？」
「仗助から話は聞いてるだろうけどよ。おめーも気にしてると思って、連れてきてやったぜ」
「お邪魔します」

仗助もAが加わることに異論はないようで、「よう」と手を上げてくれた。
彼は窓を開けると、涼やかな風を楽しむように窓枠に腰掛ける。その隣に億泰も陣取った。

康一が近くの椅子を引き寄せたので、Aもそれに倣う。

早速弁当を開けながら、康一は自分のスタンドを見せてくれた。

「僕のは『エコーズ』っていうんだ。Aさんのは、レイヴィング・ナイトだっけ」
「うん」

長い尻尾のエコーズと顔合わせするみたいに、Aも自分のスタンドを呼び出した。
「俺のって言ってなかったよな？」と億泰の『ザ・ハンド』もお目見えだ。

2人は呼び出すのも引っ込めるのもいちいち名前を呼ぶことはなく、息をするように自然にやっている。

対するAは、その都度気を張る必要があった。
特に、引っ込めるときには。

ちゃんと消えてくれた分身に、ほっと息を吐く。

「広瀬くんのエコーズは、人型じゃあないんだね」
「スタンドっていろんな形があるみたいだからね。それに能力も。びっくりしたよ、まさかレイヴィング・ナイトがAさんを守るために本体を攻撃してたなんて」
「スタンドが精神力によるものだって、本当だね。ここのところ、私怖がってばかりな気がするもの」
「無理もないよ！僕だって最初は訳分かんなくて、ほとんど震えてたもの」