【ジョジョ4部】蠱惑的インクルージョン (ページ16)

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「うわぁッ！も、戻ってレイヴィング・ナイト！呼んでないから出て来ないで！」

ぱしぱしと何回か叩いてやっと、物騒な手が消える。

スタンド使いにしか見えないとはいえ、手だけが浮かんで首を絞めようとしているなんてホラーだ。
自分のスタンドにもかかわらず、ぎょっとせずにはいられない。

「大丈夫かぁ？お前」
「……うん」
「大丈夫な奴の間じゃあねーぜ。何だっておめーのレイヴィング・ナイトは勝手に出てきてんだよ」
「私がまだ、いろんなことにびくびくしてるからじゃあないかな。上手く制御できてないんだと思う」

仗助が身を屈めて尋ねてきたせいで顔が近い。
俯いてしまうのは不可抗力だ。

「昨日の今日とはいえ、俺らからは頑張れとしか言えねーけどよォ。悪ィな」
「ううん」

校門をくぐって校舎に入り、1年のフロアに向かう。

学年と組が書かれたプレートが目に入れば、そろそろお別れだ。
今日の登校は随分と時間が長く感じた。

億泰の「じゃあな」という声が聞こえて、Aははっとなった。
肝心なことを、まだ言えていない。

「…東方くん！」
「ん？」

教室に入りかけていた仗助が、くるんと振り返る。

「昨日からたくさん迷惑かけてごめんなさい。今朝もその、心配してくれてありがとう」
「どーってことねーっスよ。何かあったら言ってくれよな」

ひらりと手を上げた仗助に振り返す。彼の姿が消えてやっと、大きく息をついた。

「い…言えた…」
「俺も力になるぜ～、おんなじクラスだしよぉ～」
「ありがとう」

億泰に笑いかえす表情は、弱々しいものだったに違いない。

(優しい人だって、分かってるはずなんだけどな)

離れていないとまともに顔も合わせられないなんて、情け無い。