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No.5 ページ6

橙「で?」


目の前でハンバーグを貪る桐山照史と名乗る男は、犬のような瞳で俺を見つめてくる。
質問の意図が分からず無視していれば、ムッとした顔で目の前にハンバーグが差し出された。


「なんやねん」

橙「名前や名前!
俺は名乗ったのにお前は名乗らんとか不公平やろ!」


勝手に名乗ってきたんそっちやろ、と口に出しかけたところで目の前のハンバーグを無理やり口に放り込まれる。
思わず咀嚼すれば、ニヤリと口角を上げられ、「しまった」と口を止めるものの、時すでに遅し。
もはや飲み込むしか術がないハンバーグは、桐山との契約印に使われていた。


橙「食うたな?食うたよな?」

「…せっこ」

橙「せこでも何でも食うたもんは食うた!
はい、おーなーまーえーは?」

「………重岡、大毅」


そうかそうかと嬉しそうに笑った桐山は、メニューをずいっと差し出して「しげも好きなん頼み」と親指を立てた。


俺も懐に入るのは上手い方やと自負してるけど、桐山はそれ以上に上手い。
初めはあった警戒心がいつの間にか解かれ、気付いたら何から何まで全部話してしまっていた。


学校のこと、サボっていること、とものこと。


俺の抱えるありとあらゆる悩みを、今日顔を合わせたばかりの男にべらべらと話してしまっていた。


「なんでやろ、誰にも言うたことないのに」

橙「馬が合うんかな、俺としげって」

「俺とあんたが?」

橙「あんたってなんか距離あんなぁ。
堅苦しいし、照史でええから」


屈託のない笑顔でそう言う照史の顔が眩しくて、何故か泣きそうになる。
思いのほか、自分が抱えていた闇に苦しめられていたのだと気が付いて、左胸を抑えながら、何とか平然を装った。


「照史、はいくつなん」

橙「21」

「は?8つも上なん」

橙「え、それは喜んでいいん?バカにされてるん?」

「…後者や」


ズコーっと効果音でも付きそうな見事なズッコケを披露した照史を見て、久しぶりに心の底から笑いが溢れ出た。
なんやそれと大声で笑えば、デジャブのようにファミレスの店員に注意を受ける。


橙「また怒られてるやん」

「照史くんのせいやろ」

橙「"くん"付けなん、距離遠い…」

「流石に8つ上呼び捨ては無理ある」


不服そうに唸る照史くんを横目に、空になった皿を眺めて、ふと浮かんだともの笑顔を消さずに考え続ける。


「なぁ、照史くん」

橙「ん〜、どした?」

「俺さぁ、ゲームの中だけやねん」

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ハチミツ(プロフ) - かこさん» ご感想ありがとうございます。返信が遅くなってしまい、申し訳ありません…。そう言っていただけると、書くモチベに繋がります!低浮上ですが、今後もよろしくお願いします! (2021年6月10日 8時) (レス) id: 35042e2505 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - お久しぶりです( ; ; )この作品大好きなので更新再開してくださって本当に嬉しいです!ありがとうございます( ; ; ) (2021年3月3日 15時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - 続き楽しみに待ってます!!!!! (2020年2月25日 23時) (レス) id: e4df3d7976 (このIDを非表示/違反報告)
( ^ω^ ) - stand by me めちゃめちゃ好きです!番外編がみれてとても嬉しいです!楽しみにしてますね! (2018年9月21日 14時) (レス) id: 24ab54fcbd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハチミツ | 作成日時:2018年9月21日 2時

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