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No.3 ページ4

学校に行っても、ともと会う。

それでも小学生のうちはそこから逃げる術を持っていなかったから、顔を合わせないように避け続けるしか道は無かった。


話しかけようとしてくるともを避ける度に傷付いた顔を見るのは心苦しかった。



中学に上がってしばらくしてから、学校に行くふりをして途中のゲーセンで時間を潰すことが増えた。

両親には申し訳ない気持ちもあったが、中学は少し家から離れた所に位置するためバレることは無かった。



(いやもうこの人強すぎやろ)


この時俺がハマっていたのは対戦型の格闘ゲーム。向かいの台の人と対戦できるものだったので、毎日毎日色んな人と拳を交えた(ゲームの中でな)。



基本的にゲーム好きだった俺は、中学生ながらそのゲーセンでは無敵状態だった。

それなのにある日突然現れた一人の人物によってその地位は崩された。



(ほんまなんやねん、腹立つ)



何度挑んでも負かされる。しかも、向こうは必殺技を繰り出さず、使っているキャラも一番か二番くらいに弱いキャラ。


そんなハンデを諸共せずに倒されるのが悔しくて、バンっと台を叩けば店員さんに軽く注意を受けた。



「あ、すんません」


感情的になっていたことを途端に自覚してそう謝れば、特徴的な笑い声が台の向こうから聞こえてくる。



橙「あっひゃっひゃ!自分あほすぎるやろ」


長椅子の上でそう腹を抱えて笑う人物は、想像していた人とは少し違っていた。



黒髪を短く切って、大きめのTシャツとハーフパンツ。オレンジのリュックを脇に置いた普通の青年。


(あんなに強いから、めちゃくちゃゲームやってるようなオタクやと思ってた)



肩透かしを食らったような顔をしていると、そんな俺を見てさらにげらげらと笑い声を大きくした。



店員「あの、お客様…」

橙「あ、すんまへん。もう出ますんで」


そう言って脇に置いた大きなリュックを背負い立ち上がると、目尻に付いた涙を拭って俺の横を通り過ぎた。


否、通り過ぎようとした。

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ハチミツ(プロフ) - かこさん» ご感想ありがとうございます。返信が遅くなってしまい、申し訳ありません…。そう言っていただけると、書くモチベに繋がります!低浮上ですが、今後もよろしくお願いします! (2021年6月10日 8時) (レス) id: 35042e2505 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - お久しぶりです( ; ; )この作品大好きなので更新再開してくださって本当に嬉しいです!ありがとうございます( ; ; ) (2021年3月3日 15時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - 続き楽しみに待ってます!!!!! (2020年2月25日 23時) (レス) id: e4df3d7976 (このIDを非表示/違反報告)
( ^ω^ ) - stand by me めちゃめちゃ好きです!番外編がみれてとても嬉しいです!楽しみにしてますね! (2018年9月21日 14時) (レス) id: 24ab54fcbd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハチミツ | 作成日時:2018年9月21日 2時

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