･ ページ10
手に違和感を感じて目を覚ますと、目の前には田中くんが座っていた。
手の違和感は、田中くんが私の手をにぎにぎいじって遊んでいた。
田「あ、起きた？具合、大丈夫？」
「……田中くん、」
田「帰ろうと思って教室寄ったら望月さんに、『具合悪くて6限から保健室言ってる』って聞いて荷物もってきたけど、帰れそ？」
心配そうに眉を少し下げてる田中くん。
優しいな。ああ好きだなってなる。
それと同時にさっきトイレで聞いた言葉が頭をよぎる。
私といると田中くんの評判が下がっちゃうんじゃないかなとか、田中くんもあることないこと言われちゃうんじゃないかとか。
そんなマイナスしか考えられなくて、私は田中くんと一緒にいちゃいけないんじゃないかって。
気づいたら、ポロンっと涙がこぼれて。
田「っ！？」
「あ、や、違う…！違うの……！」
慌てて涙を止めようとするけど、1回でちゃうとうまくコントロールできなくて。
それに焦って呼吸が浅くなってどんどん苦しくなっちゃう。
どうしたらいいかわからなくなって、プチパニック状態でいたら、背中に回ってきた腕。
そのままグッと力を込められて、田中くんの胸に収まる形になった。
田「話は後で聞くから。とりあえず落ち着ここ。大丈夫、大丈夫」
ぽんぽんと、一定のリズムで背中を叩いてくれる。
吸って〜、吐いて〜って声もかけてくれて、なんとか呼吸を落ち着かせることができた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3812人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゃん | 作成日時：2021年7月29日 7時
