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「海人、」
無言を決め込んでるらしいこの子は、俺が何を言っても俯いてるばかりで、
「俺、海人がなんもなしに人のこと殴るような子なんて思ってないから、だからなんでかだけ教えて？」
そう、海人は温厚な子だ、
少なくともこういうトラブルは今までに1度もなかったし、一緒に生活してても、海人が怒ることなんてなかなかないのに。
それでも理由は全く教えてくれないから、
「どんなに相手が悪くても、手出したら海人の負けなんだぞ」
そう言うと、俺のことをキッと睨んだ海人はそのまんまリビングを出ていく。
「おい、海人！」
海人の、反抗らしい反抗はこれが初めてだった。
バタン！って音がしたから、部屋に籠ったんだろうな、どうせ開けてくれないだろうし、って諦めてると、
ピーンポーン
玄関を開ければそこには、さっき学校で見た海人の喧嘩相手と、その親御さん。
「すみませんでした！！」
「え？え？頭上げな？海人から手出したんでしょ？むしろ俺らが謝る立場でしょ、ごめんな、顔大丈夫か？」
「いや、あの、違くて、」
「なんで喧嘩なんてしたのって問い詰めたら、お兄さんのことでって、」
「えっ、あぁ....」
海人と紫耀が楽しそうにはしゃいでる場面が頭に浮かんできて、そっか、海人は守りたいもの必死で守ったんだ...、
「本当にすみません！海人に謝りたいんですけど...」
きっと親御さんが理解のある方で、この子も本当に反省してるみたいだから、
「ん、分かってくれたならいいんだよ、ちょっと待ってね、かいとーーー！！！」
当然扉が開く気配もなく、とりあえず2人は帰らせた。
海人に謝りたいと仕切りにそう言う彼はきっと大切なことを学べたと思う。
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作者名：雲 | 作成日時：2019年12月29日 3時
