19 ページ19
･
「なんの映画見るんだっけ」
誤魔化すように話をふると、ニヤニヤしながらこちらをみる田中くん。
「あー、アクション。…Aちゃんが興味無さそうなやつ」
どこまで意地悪なんだろう。確かにアクションは好きでも嫌いでもない。…よくわかってるなぁ、田中くん
「…俺の好きなやつ知って欲しくて…って。なんかこれガキっぽい！」
なしなし！と大袈裟に言うけど、そういうところがなんというか…
「あんまり見たことないジャンル、楽しみだよ」
「…嫌味でいったんだよ、Aちゃん」
彼はどうにも素直じゃない。揶揄うような口調も、恥ずかしそうな表情も。口元がにやけているからなんの意味もないのに。
「田中くんは素直だね」
「……は？ガキっぽいって言いたい訳？」
「そんなことは言ってないよ。…うらやましいなって。」
言いたいことがハッキリ言えない私には羨ましい性格だもん。開場まではまだ少し時間があって、空いていたテーブルにポップコーンとドリンクをおいた。すぐさまポップコーンに手を伸ばし、口をモゴモゴさせながら話しかけられる
「Aちゃんさー、なんでジェシーのこと好きなの？顔？身長？」
「………人間として好きなところは、優しいところ」
「いじっぱりー。優しい？どこが？」
「……嫌なこと嫌って言えない私に、いつも大丈夫？って聞いてくれるんだよ、ルイスくん」
苦手、なはずの私にも気を使ってくれる。そんな彼の優しさに惹かれてしまった。無謀にも、1年生の頃の私は。田中くんと同じようにポップコーンに手を伸ばし口に運ぶ。
「ふーん。付き合わないわけ？」
「……人間として好きなんだってば」
もうバレバレであろう訂正をして、それから小さく「それに、私の事、たぶんあんまりすきじゃない、とおもう」と呟いた。事実、だし。
「…は？なにそれ」
「あ、もう開場だよ。田中くん、いこ」
まだポップなコーンに手を伸ばす田中くんの手を避けてカップを掴んでスタスタと5番スクリーンに向かう。後ろで田中くんが何か言ってる気がする。けど、聞こえないふりしちゃう。
「ねー、Aちゃん？俺協力してあげよっか？」
ほんとうに余計なお世話だ。その言葉も無視する。だって、私はルイスくんのこと人間的に、好きなんだもん。…他意はないんだよ。田中くん
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1652人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まめこ(プロフ) - ゆーしいさん» いつもコメントありがとうございます(^^)！ぜひお時間ある時にお願い致しますー！ (2021年8月23日 19時) (
レス) id: 08ec96d6c5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーしい(プロフ) - ドキドキしながら読んでます！きゅんきゅんします！また読みにきます〜！ (2021年8月23日 10時) (レス) id: 3150e2c301 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まめこ
| 作成日時：2021年7月26日 19時
