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せんぱいとさよならする話 ページ49










大好きな人のネクタイを最後まで守り通して、群がる後輩たちをかきわければ、困ったような顔をした北斗くんがいた。どうやら私の顔はすごいことになっているみたい








「いやです。…むりです、やだ」






「…俺にはどうすることもできないでしょ。泣かないでよ」




だいぶ前に無くなった敬語と、先輩という呼び名。こんなことなら卒業まで先輩って呼んでおくんだった。もう同じ高校に通う先輩じゃなくなるんだから






北斗くんが受験でなかなか会えない時も、バレンタインでチョコをたくさん受け取っていた時も。ここまで悲しくて寂しくはならなかったのに





春から同じ場所で同じ時間を過ごせないという事実を卒業式というイベントで実感させられる







「………ほくとくんはかっこいいから、大学でもモテモテだよ。きっと」





「A以外にモテても仕方ないでしょ、…頼むから泣かないで」






北斗くんはコートの袖口で私の涙を拭ってくれる。まるで小さい子どもみたいじゃないか、わたし






なにもやましいことなんてないのに、北斗くんの顔をみることができない。履きなれたローファーの爪先をみながら目の前の大好きな人に願掛けのようなことをしてみる






「…北斗くん、変な女の子に毎日挨拶されても優しくしちゃだめだよ」





「…うん。わかった」





「どのくらいまでなら近寄っていい、なんて絶対言ったらだめ。それに、」








至極真剣にいっているのに、北斗くんは私の言葉を最後まで聞かずにふっと笑を零す






頬を触る温かい手は優しく私の視線を前へと向けた。目の前の北斗くんが嬉しそうにしてるのをみて、また悲しくなった。私はこんなに寂しいのに!





「…なんで笑ってるの、ほくとくん」




「愛されてるなぁって」




「………あ、ばかにしてる」






してないよ、と否定して私の頬をギューっと寄せ始めた。彼女の頬っぺた潰す気なの?とむっとすると、「泣いてるより怒ってる方がいいや」とまた優しく笑う









「…もし、同じように話しかけてくれる子がいても俺はもう期待には応えられないよ」






「Aがいるじゃん、俺」








だからそんな顔しないの、目の前が北斗くんの紺色のコートで1色になった。北斗くんの肩口は私の涙で濡れていて、頭をぽんぽんと優しく撫でられれば尽きることなく流れていく









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YUUKI(プロフ) - この小説をもう何回も読んでる者です!!本当に面白くて幸せな運命で、こちらまで嬉しくなります!最高の小説なのでこれからもたくさん読ませていただきます!! (2023年3月27日 8時) (レス) @page50 id: 856434f156 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - 続編みたいです! (2021年12月13日 7時) (レス) @page50 id: d885f834a6 (このIDを非表示/違反報告)
pupi(プロフ) - 一気に読みました。久しぶりにぼろぼろ泣きました(;;)他作品も読ませていただきます! (2021年8月6日 3時) (レス) id: 019254c1d1 (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - うおおおお感情移入しちゃってlastらへんで泣いちゃいました………………………これからの更新も楽しみにしています……!! (2021年7月25日 2時) (レス) id: 90ad8ea26a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まめこさん» わ!!嬉しいです…!!ありがとうございます(*^^*)これからの作品も楽しみにしてます!! (2021年7月23日 21時) (レス) id: 55c78b94af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まめこ | 作成日時:2021年7月4日 21時

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