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トントンがそういうのをきいて、俺はザックリ胸にナイフを突き刺されたみたいな気分になる。そうだ。俺にはなにもかも関係ない。水曜日だからといって、トントンがいるからといって、グルッペンの習慣にも、決まりごとにも、そのほかのいかなる事情にも、俺は関係がない、それを知る権利もない。
『……でも最寄り駅までついていくからな!』
「……勝手にせえ」
だがこいつらは、最寄り駅についたらすぐタクシーを呼んでしまうので、行き先はおおまかな方向くらいしかわからない。尾行を考えたこともないではなかったが、車の足に追いつけるような移動手段はなにもない。俺の最寄りからこうも離れた土地に自転車は持ってこられないし、バイクの免許だってない。15のときには教習所に通いはじめていたクラスメイトがいたことを思い出して、俺にもそんくらいの踏んぎりがあればなといまさら後悔してみたりする。後悔先に立たず。
こいつらの最寄りであるA駅について、ふたり仲よく駅を出ていったグルッペンとトントンをみおくって、俺は駅構内でしばらく立ちすくむ。いったい自分が何故こんなことをしているのか、ちょっとだけわからなくなってしまったからだ。俺はなんでこうもグルッペンについてまわらねば気が済まないのだろう。こんな不毛な時間をすごすくらいなら、俺のことがたぶん好きだろう巨乳の日山と、日山イチオシのかわいい後輩の子もまじえてカラオケに行ったほうが絶対有意義だったはずだ。でも俺はそのすべてをほうり出してグルッペンのとこまで走ってきてしまった。そうするしかなかったみたいな情熱で。
「……アホらしい」
そう口に出してみるものの、この衝動はおさえられそうにない。
あいつを追いかけなくちゃならない、どうしてもつかまえなくちゃならないというこの衝動は。
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暁 - こんにちは!好みドストライクの小説に死にました笑笑 よろしければ、番外編など書いていただけると、今後の楽しみになります← (2019年6月26日 17時) (レス) id: 49acb176a2 (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - カロさん» リクエストありがとうございます!無事書けましたのでお知らせいたします。夢主気に入っていただけたみたいでうれしいです;!書いててすごく楽しいのでありがたいリクエストでした!読んでくださってありがとうございました! (2019年6月22日 8時) (レス) id: 5ef018c5f9 (このIDを非表示/違反報告)
カロ(プロフ) - すみません!リクエストで夢主くんとグルさんのイチャイチャが見たいです!お願いします! (2019年6月21日 18時) (レス) id: d6860b933c (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - bhさん» わーいありがとうございます;;ほんと私の好きなもの無造作につめこんだだけの作品にそういっていただけでうれしいです!完結したのでお楽しみいただければいいな…と思います!ありがとうございます! (2019年6月20日 21時) (レス) id: cfc1eef8b5 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 大好きです…ド性癖です…応援しております… (2019年6月19日 15時) (レス) id: c595f3c6d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エス | 作成日時:2019年6月18日 0時