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だがそれまで軽快にみしらぬ他人に話しかけていた俺が急に自分をみて黙してしまったわけだから、グルッペンは多少なりとも驚いたようだった。
「運命でも感じたのか」
グルッペンはそういって俺をからかった。手にしていた「猫町」をゆらゆらとみせつけるように振りながら。俺がその本をみて言葉を失ったことにその時点で気がついていたのだ。もっといえば、俺の名前から、萩原朔太郎に通じるある種の因縁を察していた可能性さえある。こいつはそういうやつだった。



『……俺が仮にお前のこと好きだとして』
「おお」

ちょっと趣向をかえるつもりでそういった俺に、グルッペンは若干意外そうな顔をしてうなずく。俺がそういう仮定を持ち出したことがめずらしかったんだろう、俺だってこんなこと普段ならいい出さない。グルッペンの追及があまりにしつこいから仕方なくだ。

『じゃあお前はなんで俺にそうやってかまうんだよ。お前だって俺のこと好きなんじゃねーのか? 嫌だったら自分のこと好きなやつのとこになんか、わざわざいかねーだろ』
「……ふん」

グルッペンは尊大な顔つきで鼻を鳴らして、フェンスにからだをあずけた。いちいち鼻につくしぐさをする男だ。でもグルッペンは気を許した相手にしかこういうすがたをみせない。俺だって今のように打ち解けるまでは猫をかぶったこいつのすがたしか知らなかった。

「お前かわいい野良猫がいたらしつこくかまいつづけるタイプだろ」
『あ!?……そんなことお前に関係ねーだろ』
「俺もそういうタイプなんだ」
『は!?……あ?……あぁ!?』

三拍ほど置いてようやく意味がわかった俺を、グルッペンはからかうように笑い飛ばし、さっさと扉に向かっていってしまう。

『おい待てよ! 逃げんのかよ!』
「逃げるんじゃない。帰るんだ」
『屁理屈こねんな!』
「お前もそろそろ引き揚げたほうがいいぞ」

えらそうにいいやがって、としばらくその場で足踏みしていたら午後の始業のベルが鳴って、俺はあわてて教室に走るのだった。こういうところがあるせいでからかわれるんだ、いつまでも。

▽男の嫉妬はみぐるしい→←▽



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- こんにちは!好みドストライクの小説に死にました笑笑 よろしければ、番外編など書いていただけると、今後の楽しみになります← (2019年6月26日 17時) (レス) id: 49acb176a2 (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - カロさん» リクエストありがとうございます!無事書けましたのでお知らせいたします。夢主気に入っていただけたみたいでうれしいです;!書いててすごく楽しいのでありがたいリクエストでした!読んでくださってありがとうございました! (2019年6月22日 8時) (レス) id: 5ef018c5f9 (このIDを非表示/違反報告)
カロ(プロフ) - すみません!リクエストで夢主くんとグルさんのイチャイチャが見たいです!お願いします! (2019年6月21日 18時) (レス) id: d6860b933c (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - bhさん» わーいありがとうございます;;ほんと私の好きなもの無造作につめこんだだけの作品にそういっていただけでうれしいです!完結したのでお楽しみいただければいいな…と思います!ありがとうございます! (2019年6月20日 21時) (レス) id: cfc1eef8b5 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 大好きです…ド性癖です…応援しております… (2019年6月19日 15時) (レス) id: c595f3c6d5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:エス | 作成日時:2019年6月18日 0時

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