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深澤「……ぃ、おーい、Aちゃーん起きてーー」
「ん…うわっ！」
深澤「人の顔みてうわってなんだ！うわって！」
「ち、近かったから…」
深澤「そっちから肩にもたれかかってきたの。」
「辰哉に寝顔見られたの、最悪」
気づけば寝てしまっていたみたいで、起きた時の視界が辰哉の顔面でいっぱいで脳がパンクしそうになった。冷たい態度を取っているけど本当は恥ずかしくて仕方がないからすぐに顔を逸らし、そそくさパスケースを取り出してバスから降りた。
深澤「最悪って言うなよ！相変わらず寝顔かあいんだね」
「相変わらずとか言うのやめてよ…」
私がいくら歩く速度を速めてみても余裕そうなその歩幅と表情に何故か悔しくなって。
茶化しながらも歩幅を合わせて歩いてくれる辰哉にいいからドリンク買っちゃおうよ、って売店まで向かおうとしたのも束の間。
瑠花「あれ？辰哉じゃん」
深澤「う、わあ…瑠花…」
瑠花「うわあってなに笑 …あ、Aさんこんにちは。」
この間学校の玄関先で辰哉と話してた彼女。どうやら1人で映画を観に来たみたいで、奇遇だね〜なんて辰哉と話している。それより名前、なんで知ってるの。なんてことも聞けずこんにちは…と小さな声で返すことしかできなかった。
瑠花「映画誘えたんだ、良かったね。」
深澤「おま、まじで余計なこと言うなって。」
瑠花「Aさんも、またねー」
「え、あ……」
瑠花さんは意外と居座るつもりはなかったらしく、またねとかいう意味深な言葉を残して去っていった。辰哉はと言うとバツの悪そうな顔で、一言で言えば会いたくなかったと、そんな感じ。
「風のような人だね…びっくりした」
深澤「あいつ…馴れ馴れしかったよなあ…ごめんA」
「ううん…別に、全然」
辰哉と瑠花さんはどういう関係なの？なんて聞けるわけもなく、映画までの時間は刻々と迫っていくばかりだった。
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作者名：とろろ | 作成日時：2024年10月21日 2時
