大人が嫌いな僕達 (ページ5)

今日:38 hit、昨日:26 hit、合計:96,647 hit

ばかやろうページ5

.

.

金曜日。やっと1週間が終わる

今日はなぜか午後からキムAの姿がなかった

こういう時に限って化学の授業はペア実験だった

2人でするのも気まずいだろうけど、1人は1人でしんどい

放課後は4人で集まっていた

他愛もない話をして、ゲームをして

男子高校生なんてこんなもんだ

帰るのは夜中だった

家までの帰り道は海岸沿い。この時間はやっぱり少し肌寒い

空気が澄んでいて、星が綺麗に見えている

…あ、金星だ

「ジェヒョンオッパのばかやろーー！！！！！」

しんとした世界に響く叫び声

思わず立ち止まってしまった

見慣れた制服、華奢な後ろ姿

海に向かって叫んでいたのは多分、キムAだった

「…ふ、えっ……んう、」

へなへなと砂に膝をつき、泣いていた

いつも冷静な彼女が感情をむき出しにする姿に目を奪われる

僕はなぜか…体が勝手に動いていた

自転車をその場に置き、一直線に歩き出した

スニーカーに砂が入るかも。なんて、そんなことはどうでもよかった

JM「…どうしたの」

「……っ、ナジェミンくん」

彼女はこっちを見て一瞬驚きながらもすぐ波に視線を戻した

JM「もしかして、昼間からずっとここにいた？」

「学校に、いたくなかったの」

僕はなんで話しかけてるんだろう

なんでしゃがんで彼女に目線を合わせてるんだろう

仲良い訳でもない、好きでもない、この子に

……いや、好き…なんだろうか

この何週間か、無意識に僕はずっと彼女を目で追ってきてた

そして今も。泣いてる彼女を見て話しかけずにはいられなかった

泣きながら海を眺める横顔は綺麗で、気づけばその涙を拭っていた

「私、……失恋した」

JM「うん、」

「愛してた」

JM「…うん」

"愛してた" この言葉だけで2人の関係は僕が思っていたより深いことが分かった

JM「ここ、汚れるから。こっち行こう」

.

.