第38話 過去編in魚人島 ページ5
貴女サイド
ある日、魚人海賊団船長フィッシャー・タイガーの訃報が届いた。その訃報の威力は凄まじかった。
島人「オトヒメ様、署名を返してもらえないでしょうか。」
ｵﾄﾋﾒ「えっ…」
貴「そんな…」
100枚ほどあった署名の紙は次々と無くなっていき、署名箱の中は空っぽになってしまった。
その日の夜、オトヒメはいつもはフカボシやしらほし達と話すのだが1人にして欲しいと頼んだ。だが、私は心配なのでオトヒメのそばから離れなかった。
ｵﾄﾋﾒ「私は負けないと誓ったはずなのにこんなに辛いなんて…」
貴「そうね…私も辛いわ…」
オトヒメはヤケ酒し酔っ払っていた。するとオトヒメがでんでん虫をとり、話し出した。
ｵﾄﾋﾒ「みんなウソつきよ〜!!」
貴「ちょっと、オトヒメ!!国中への放送がONになってるから!!」
ｵﾄﾋﾒ「うるへい!!水中だけで生きていける私達が暗い海底を選んで住んでいるのはなぜ!!子供達がこっそりシャボンディーパークを見に行くのはなぜ!?行ってはいけない場所なんてあるはずないのに!!」
私はオトヒメの腕を掴んだ手を緩めた。
これがオトヒメの気持ちなのだ。どんな演説よりも心に響く言葉はこれしかないと思った。
ｵﾄﾋﾒ「勇気を出して1歩を踏み出してください。その障害が人間ならばぶつかって行けばいいじゃないですか!!そうすれば子供達の未来が少しだけ変わるかもしれないのに…」
オトヒメの気持ちは島の人達に届いただろうか。
私はでんでん虫のスイッチを切り、オトヒメを抱き寄せた。
貴「そうね、オトヒメ。ほんの少しの勇気でこの島の未来は変わるわ。また、1から頑張りましょう、ね？」
ｵﾄﾋﾒ「うぅ…A〜ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ」
オトヒメは子供のように泣きじゃくった。
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作者名：あずき丸 | 作成日時：2019年5月5日 10時
