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笑った時に出来る四角い口も
昔の私の知ってるままのベクだ。







「元気にしてた?ちなみに俺は元気。」

「私も。元気だよ。」

「本当に…久しぶりだな…」

「そう…だね。」







対応といい、お酒を飲める年になったベクの纏ってる雰囲気はもう大人になっていて。





素直に謝ったらベクは受け止めてくれる





だから今ほど絶好なタイミングを逃してはいけない。

そんな気がした。






「ベクあのね、昔…」

「言わなくていい。」

「……」

「わかってるから。」







いつから全てを悟ったような、
そんな目で人を見つめるようになったのか。


私が知らなかった月日にベクがどれだけ成長したのかなんてわかるのは容易で。








「俺も悪い女に引っかかったもんだよ。
まぁいい経験にはなったけどな(笑)」









きっと今日来ているだろうあの彼女を思い出してか、目を細め苦笑いをするベク。



どこまでベクが知ってるのか。



詳しく聞きたい気持ちになったけど、
私もそれなりに成長したんだ。

その気持ちをぐっと抑える。








「…ごめん。」

「なんでAが謝んの。
気づかなかった俺が悪かったんでしょ。」

「だとしても、ベクに酷いこと言った。」

「…ま、あの時はショックだった(笑)」








軽く下唇を噛む仕草をみて
私がどれだけベクを傷つけたのか痛いほどわかった。








「何度も謝ろうとは思ったんだけど…」

「うん。」

「あの時きちんと謝れば今も仲良かったのかなって…今でもすごい後悔してる。」

「うん。」

「だから遅くなって…本当にごめん。」








少しお酒が回ってきたのか饒舌になってきたように思うけど、
思っていたことを言えてすっきりした。


ベクはそんな私の顔を見てニコッと笑って








「もういいって。ちゃんとわかってる。

昔は子供だったから全然わかんなかったけど今はわかるから。仲直りな?」








子供を慰めるような優しい声で、小さい頃にした指切りをして。

ベクは「Aが素直になったから俺も」と話し出した。









「A、好きだ。」

「…え?」



「俺も後悔してる。

人伝いで聞いた時には遅かった。ごめん。
自分の気持ちに気づくのも遅かった。ごめん。

勝手だけど
今日は気持ちを伝えるつもりで来てたんだ。急にごめん。」






あまりに突然だけど、あまりに嬉しくて。







「もう…私から離れないで。」

「当たり前。」







そっとキスをした。



End.

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作者名:S | 作成日時:2017年10月29日 17時

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