＊ ページ26
「A？Aだよな？
久しぶり〜！綺麗になったな！」
「あ、久しぶり！チャニョルの方こそかっこよくなったね！」
「ヤー！ありがとう(笑)」
お酒を片手にぼーっと突っ立てっていた私に話しかけてくれたのはチャニョル。
私の数少ない男友達で仲良かった1人。
2人で少し話していると
話上手なチャニョルは会ってない期間を感じさせないぐらい話しやすい。
「そういやさ、
あー…ベクと会った？」
そう思った矢先、この話題を振られて思わずお酒が喉につっかえる。
「ゴホゴホッ…」
「ごめん、大丈夫？
そんなに動揺するとは思わなくって(笑)」
そう言えば、
チャニョルはベクと仲が良くって知り合ったんだ。
ベクもチャニョルと同じ人気者だったから。
「ん、大丈夫…(笑)
ごめん。それで何だった？」
「あー、あっちにベクいるから挨拶してきたら？まだだろ？」
「…うん。でも、」
「大丈夫だって！
Aに話しかけられたら絶対喜ぶからあいつ！」
チャニョルはすぐに察してくれて。
何を思って提案してくれたのかわからないけど、その言葉に背中を押されたのは事実。
声、かけよっかな…
そう心で決めた瞬間、
「チャニョラ！！探したんだぞ！あ…」
私の顔を見て明らかに動揺してるベク。
そりゃそうなるよね…
「あー…また後でくるわ。」
「ヤー！お前ってやつは！！」
チャニョルがベクを軽くどつく。
ベクは条件反射のようにまた「やったな！」って仕返しをするけど、まるで体のでかいチャニョルには効果なしのよう。
じゃれあってる昔を思い出してきて、
なんだか懐かしい…
「ふふ(笑)」
「…何だよ。」
「あ。いや、何にもない。」
思わず出てしまった声に、慌てて何も無かったかのように振る舞う。
「…あー！俺彼女から電話しろって言われてたからちょっと出てくるわ！」
「はっ？お前さっき…」
「じゃまたなA！」
徐ろに私達だけにしようとでてったチャニョルにベクも気づいてないはずがない。
変な空気がより増してしまっただけ。
何か話さなきゃ…
「ベク…」
「…なに？(笑)」
咄嗟に口から出た言葉は名前だけ。
ベクもそう返す他ないだろうし…
「…久しぶり。」
「ん。久しぶりだなA。」
少しはにかんだ笑顔は何も変わらない。
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作者名：S
| 作成日時：2017年10月29日 17時
