Small Shot!! (ページ45)

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「ん」

さっとベッドに潜って、こちらに手を伸ばす濵田さん。
いやいや。ん、やなしに。
なんのことか分からずひたすら顔を見つめていると、痺れを切らした濵田さんが伸ばした腕を上下に動かす。

「ん！」

『エクササイズ？』

「ちゃうわ、頼むからわかってくれ」

ほら、んー！と変わらぬ姿勢で訴えかける彼に

『え、もしかして添い寝ですか？』

「お、正解」

『はい？』

「なんかで読んでんけど、人にハグされながらやと眠れるらしい」

『ハグされながらだと眠れるらしい…？』

聞いたことない説だけど、それちゃんと検証されてるやつ？
本当に書いてた？なんて本？
もしかしてNAVER？
失礼な矢継ぎ早質問は心の中で押し殺し、ついでにこの状況に内心喜んでいる女の部分も押し殺した。

『いやいや、わかってますか？アイドルとマネージャーです』

「そんなん望なんかいつもべったりやん」

『小瀧さんはあれが通常運転です』

「ほんなら俺も、」

『濵田さんはこうゆうのしないでしょ』

「えーそう？」

ベタベタされるの苦手な癖に。

マネージャーとしてメンバーとの距離感は気をつけているつもりでいる。
重岡さんは放っておいてほしいタイミングがあるし、小瀧さんは冷たくあしらうと拗ねてしまうし。
だけど、その中でも1番気を遣っているのは濵田さんに対してで。

アイドルは職業柄、距離感がおかしくなりがち。
特に、うん。うちのグループは、基本全員おかしい気がする。

でも濵田さんは人との過度な接触に対して少し苦手意識を持ってるように感じて。
きっとパーソナルスペースをちゃんと持っている人、それを仕事には極力出さない大人な人なんだ。

だから断りも入れずパーソナルスペースを侵害することはないようにと気を配っているつもり。
そんな人が今ベッドで一緒に寝ようなんて手を差し伸べてきてるんだから、きっと明日は雪が降るし、たぶん私の寿命が尽きる。そういうこと。