Small Shot!! (ページ5)

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お疲れ様、です NK ページ5

疲れてしまった、全部

『…あーぁ』

頑張れば頑張るほど空回り。
努力に結果が追いつかない。

意見や指導を有難いと思えなくなったのいつからだろう。何か言われる度に辛い、怖い気持ちが先行してしまう。

家に着いて、靴を脱ぐために座り込んだあともう立てなくなってしまった。

無理矢理立つ気にもならなくて、ぼーっと扉を見つめる。
あれそういえば今日金曜日だっけ。
駅前の居酒屋が栄えてたのはそういうことか。

もう今いつを過ごしているのかもわからない毎日で。

明日、明後日と過ぎればまた月曜日が来る。
もう無理だ、って。限界だ、って。

もう何時間こうしていたのか、はたまたまだほんの10分しか経ってないのかもしれない。

ああ、そうだ。さっき望くんからメッセージ来てたんだっけ。
コートのポケットからスマホを取り出してメッセージを確認する。

望くん:お疲れ！今日会える？

一文で心が満たされて、同時に悲しくなった

限界だよって一言零せばきっとその場を駆け出してでも会いに来てくれる。
彼はそういう優しい人だから。

彼の仕事は私の何倍も難しい、人を笑顔にする仕事。
その難しい仕事は彼にしかできない事で、きっとしんどいはずなのに愚痴なんて言わずにいつでも笑顔を見せてくれる。

そんな望くんに愚痴なんて言えない、言わない。

いつからか望くんの前ではいつでも笑顔でいたくて、平気なフリをするようになった。

会えばいつでも笑顔な私だけを見せたいから。

今日は断ろう。多分ダメな日だ。
泣いちゃったりしたら望くんきっと困ってしまう。

『…今日は、帰るの遅くなりそうだから…ごめんね。っと』

文字を打ち込んだ後、本当はすごく疲れてて、癒して欲しくて、会いたくて、そんな心のうちがバレないようにちょっとふざけたスタンプを一緒に送った。

『……会いたかったな』

誰にも届かない呟きを落とし、
さっきから玄関から1歩も動けないまま
重力に逆らうのはやめて寝転がる。

このまま、月曜日が来なければいいのに

寝転んでしまえばそのまま瞼が落ちてくる
もうどうにでもなってしまえと瞼を閉じて夢の扉をくぐった。