インスタントに胸キュン【イナイレ短編集】

ヤキモチ＊フィディオ・アルデナ ページ33

「きゃー！！」

今日も、ギャラリーが多い。
オルフェウスの練習はどうしてこうもギャラリーが多いのか。
まあその大半はフィディオ目当てなんだけど。

他の国の代表の練習も、これくらいギャラリーがいるんだろうか。


練習が終わると、数人の女の子たちが駆け寄ってくる。
握手してくださいだとかサインくださいだとか、要求はさまざま。


「あ、あの！写真撮ってくれませんか？」
そんな声にぴくりと反応してしまった。

別に、彼が人気者なのはいつものことなのに。

「もちろん！
じゃあA、ちょっと撮ってくれない？」
彼は私に女の子の携帯電話を差し出した、

「…いいけど。」
不本意ながらも、断るのも可笑しいので言われた通りに撮影する。

ていうか、彼は私が嫌がっているのも知っているはずだ。
彼氏がこんなにモテて嬉しい女子なんていないだろうに。

「ありがとうございました！」
嬉しそうに去っていく女の子の背中を見送ってから、フィディオを思いきり睨んだ。


「どうして私が、ファンの女の子との写真を撮らなきゃいけないわけ？」

フィディオは愉しそうに笑った。
「嫉妬してるの？」

「別に、そんなんじゃないし。」
腹が立つので顔を背ける。


「A、こっち向いて。」

渋々フィディオの方へ向き直ると、触れるだけのキスをされた。

唇を離してから、私のおでこに自身のおでこをくっつけてきた。


「俺が愛してるのはAだけだよ。君だって分かってるだろ？」

この距離で、こんなことされて、恥ずかしくない人なんているんだろうか。

「…調子良いんだから。」

幸福とは＊倉間典人→←好きが溢れる＊豪炎寺修也

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