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恥ずかしさより、驚きの方が勝り、されるがままに医務室と呼ばれる場所に連れてこられてしまった。
ここで待ってろよと言われ椅子に座ったまま固まった私。
普通…女の子俵かつぎしますかね？
せめておぶってくれるとかさ…
そこまで考えて、すぐに考えるのをやめた。
ここじゃ何を考えても答えなんて出ない。
考える事をやめた私は再度医務室を見渡した。
確かに何が入っているか分からない薬の瓶やよく分からない物が沢山あった。
そして薬品独特の匂いもしている。
一瞬ボーッとしていたが、ズキズキ痛む手でハッとした。
手を見つめると丁寧に包帯が巻かれていてちゃんと手当をされていた。
怪我をして手当を受けたのは、これが初めてだった。
それがすごく驚いて、少し嬉しくもあった。
｢よぉ、悪ぃな……どうした？｣
再び医務室に戻ってきたホンゴウは手に靴を持っていた。
私が何を見ているのかすぐに分かったらしく、その靴を目の前に置いた。
｢デケェけどとりあえずはこれ履いときな。履かねぇよりはマシだろ｣
｢…………あ……ありかとぉ｣
｢……おお、喋れんじゃねぇか。｣
｢さっき……怖くて声……出なかった…………｣
｢まあ無理すんな。ベックマンも悪気があった訳じゃねぇ。そこは分かってくれ｣
｢……うん｣
｢手の方は数日もあれば傷も塞がるし傷跡も残らねーと思う。｣
そう言って靴を履かせてくれた。
やっぱりかなりデカイなと言っていたが、私にはこれだけでもすごく嬉しかった。
こうして怪我を気遣ってくれるのも、手当をしてくれるのも、私にはすごく、暖かかった。
｢……ここが、どこか分からない。どうやってきたのかも……｣
意を決してそう言うとホンゴウも流石に頭を悩ませた。
そりゃそうだ、本人ですら分からないことを自分が分かるはずもないのだから。
また少し席を外すと医務室を出ていったいホンゴウ。
それから少しして医務室に現れたのはベックマンだった。
ホンゴウが戻ってきたのかと思って入口に目をやっていたつむぎは驚いてまた硬直してしまった。
その後すぐに何かを手に持ったホンゴウも帰ってきたので少しほっとした。
｢ベックマン、少しは警戒心をとけよ。｣
｢……｣
ホンゴウの言葉に何も言わずに近くの椅子に座ったベックマン。
｢やれやれ…………お腹空いてるだろ？｣
少し間を置いてコクっと頷くと持っていたお盆をテーブルに置いた。
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作者名：こゆん | 作成日時：2022年9月2日 19時
