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｢海風に当たりすぎたか？｣
｢それもあるだろうが…多分環境の変化だな。｣
すぐにベッドに寝かせられたつむぎはみるみるうちに具合が悪くなっていた。
ズキズキと痛む頭と熱くなった体温で身体がだるく辛い。
息もあがってきた事で呼吸が苦しく泣きたくなる。
｢しゃんくすぅ…｣
｢寝てろ寝てろ。｣
誰も居なくなるのは不安で1番近くにいたシャンクスの袖を引っ張った。
呂律の回らない口で精一杯呼ぶと頭を撫でてくれた。
その後ホンゴウさんが冷たいタオルを額に乗っけてくれて少し頭が痛いのが落ち着いたが、タオルが熱くなるとまたズキズキしてくる。
眠ろうとして目を閉じてもすぐに苦しさで眠れない。
このまま治らなかったらと不安になっては泣きそうになる私をシャンクスもホンゴウさんもなだめてくれていた。
そのうちいつの間にか眠ってしまっていた。
｢………随分苦しそうだ。｣
｢後はひたすら熱を下げるしか出来ないな。目が覚めた時何か口にできるか分からないが、一応ルゥに指示出してくる。その間つむぎのこと頼むぜ頭ァ。｣
つむぎがやっと寝てしまってからホンゴウも少しホッとした。
しかし何があるか分からないので、その間シャンクスにつむぎを任せることにした。
｢あぁ、食事は任せる。｣
それを聞いて部屋を出たホンゴウはルゥに食事の指示と、ベックマンに事の状況を伝え、つむぎが体調を崩したのは環境の変化が原因で他のクルー達の責任ではない事も伝えた。
ホンゴウが部屋を出てから、シャンクスはベッドのすぐ側の椅子にすわってつむぎの様子を見ていた。
今も尚苦しそうに息をしているつむぎ。
昨日からずっと無理をしていたのだろう。
1人知らない場所で不安にならないはずがない。
さっきの不安そうな顔もきっとつむぎの本音なのだろう。
｢今はゆっくり休め…大丈夫だ。絶対に見捨てたりなんてしない……｣
まだ少し幼さの残る寝顔に、時々陰る表情。
幼い頃から、守られるはずの子どもが守る側の大人に虐げられ傷ついてきた。
そのせいで甘え方を知らないつむぎは何度歯を食いしばって生きてきたのか。
愛情を知らずに育ち、本来真っ先に受け取るはずの愛情を1度も経験せずに。
どれほどそう言った存在を求めたか。
つむぎを知るにはまだまだ時間がかかるが、それでもつむぎの無邪気な笑顔をこの先ずっと守っていきたい。
そして平穏で明るい未来を。
そう願わずにはいられない。
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作者名：こゆん | 作成日時：2022年9月2日 19時
