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「つむぎ!!」
「あ…大丈夫です……」
さっきの悲鳴で駆けつけたのはホンゴウとベックマン。
ホンゴウはすかさず怪我がないか確認してくれ、ベックマンはベッドで今でもいびきをかいて寝ているシャンクスの頭をべシッと殴っている。
仮にも船長の頭を殴っていいのかと心配になったつむぎをよそにベックマンはとても低い声を出してした。
「手ェ出すなって言っただろうが。」
「一体なんで頭と一緒に寝てやがったんだつむぎ?」
2人に昨日の夜の事を話した。
それを聞いてホンゴウとベックマンの案の定呆れた顔をした。
「……嫌だったら叫んでいいんだからな?」
「それが……嫌ではなかったです……」
「…………勘弁してくれ……」
確信はないが、つむぎが自分たちの頭を好きだと言うのは今の発言から確実だろうと、2人とも頭を悩ませた。
つむぎはほとんどホンゴウかベックマンとしか話していない、そして昨日の夜やっとシャンクスと話をしたはずなのだ。
その数時間でどうやったらそこまでの感情にたどり着くのか。
「まあそれは本人の自由だが……つむぎは男を知らなすぎだ。」
「……………」
しゅんと黙ってしまったつむぎはまるで怒られた子犬のようだった。
「…………分かった分かった!そんな顔するなって!」
ホンゴウもベックマンもたった1日の付き合いだと言うのに、つむぎの落ち込んだ顔や悲しい顔には弱かった。
「んぁ?…………なんでおめェらここにいんだ?」
ここでやっと目を覚ました赤髪海賊団大頭、赤髪のシャンクスはポリポリと頭をかいて起き上がった。
「次つむぎに手ェ出したら飯抜きにするからな頭ァ」
「はぁ?!なんでだよ?!ってか……一緒に寝てたのはこいつが服を離さなくてだなっ」
シャンクスの言い訳に2人がつむぎをバッと振り向いた。
つむぎはと言うと、驚いた顔で固まっている。
「それに手ェなんて出してねぇよ……」
「…………あの…………ごめんなさい……」
自分の失態だと知ったつむぎはさらに肩を落とした。
あの夜確かにシャンクスに寄りかかっていたのは自分で、先に寝落ちしたのも自分だ。
「…………つむぎはもう少し警戒心をもて。」
「ベックマンの言う通りだ。頭は手が早ェからな。」
「うるせぇ!そんな事はねェよ!」
そんな3人の言い合いはとても居心地がよかった。
何より、つむぎは初めてと言っても過言ではないほど、ぐっすりと眠れたようだった。
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作者名:こゆん | 作成日時:2022年9月2日 19時