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「ｯ…、っ！」
陸さんの指先が触れてきた。
成す術もなく耐える。
こんなの、拷問だ。
敏感なとこ、わざと避けてる…っ！
『汗ばんできたね。』
「…。」
『あ。耳弄られるのが好きなんだっけ？』
「？！」
カプっと耳の先を甘噛みされた。
電撃が走ったみたいに快感が走る。
ちょっと…！
もしかしなくても、昂秀さん？
なんで耳が弱いって教えちゃったの…？！
「…ｯ♡」
『舐めてあげる。』
私は、縁談で陸さんを訪ねてきたのに。
扱いはただの玩具だ。
でも、気持ち良過ぎて…。
色々どうでもよくなっちゃいそう。
あぁ。
だめなのに。
もっと感じたい…っ。
「〜〜っ、ｯ♡」
『僕のものになってよ。良いでしょ…？』
「…、」
そんな目で言われたら、虜になっちゃう…。
動けない体に歯向かって無理矢理頷こうとした瞬間。
私は完全に毒が回って気絶した。
「ん…。」
目覚めて起き上がると、隣で陸さんが眠っていた。
されたことを一気に思い出して血の気が引く。
体が動く！
毒が抜けたんだ！！
「っ、…逃げなきゃ！」
陸さんのものになってはいけない。
危ないところだった。
冷静さを取り戻した。
乱れた服装を早急に直す。
ベッドを降りて駆け出そうとしたら、腕を掴まれた。
『Aさん。』
「ひっ？！」
後ろから抱きすくめられ、強張る。
『今回だけは逃がしてあげる…。』
「えっ！」
パッと体が離れて解放された。
『いつでも戻っておいで。』
「陸さん…。」
『次は僕も一緒に悦くなりたいな。ふふ。』
いろんな思いを振りきるように、走って逃げた。
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作者名：If | 作成日時：2022年8月7日 8時
