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パシャン、と湯船の湯が浴槽から零れ落ちる音が静かに響き渡る。目を閉じたまま上機嫌な黒猫は尻尾を揺らし浴槽の縁に肘を着いて鼻歌を歌っていた。
「…いつまで不機嫌なんですか」
『不機嫌じゃない…』
「ならこっちみてくださいよ」
『絶っ対無理！』
(下にはタオルを巻いてもらったが)服を脱ぎ思いの外細身だった彼をまともに見る事なんて出来ず、私は常に彼の方を見ないように顔を逸らしながら冷たいタイルのの上に立っていた。
「ちぇー」
『早く温まってね』
「無茶なこと言いますね」
なんて目を伏せながらケラケラ笑う彼。いつもは静かな癖に今日はやけに喋るな、と思った所でその違和感の正体に気付いた。
もしかして。
『…ショッピ』
「はい」
目を伏せている彼の頬に手を伸ばす。そのまま柔らかい頬を指の背で優しく撫でると、一瞬だけど喉がゴロゴロと鳴ったのを見逃さなかった。
『大丈夫。ここにいるよ』
こんなに気丈に振舞っても見えないのは怖い筈だ。
大丈夫、と言い聞かせ暫く撫でていると耳も尻尾もユラユラ揺れだしふは、と笑いだした。
「…ホンマ、Aさんには敵わないっすわ」
『何年家族やってると思ってるの？』
「そうでしたね」
やがて満足したらしいショッピは体洗って欲しいんすけどと立ち上がろうとしたので慌てて顔を再び逸らす。いきなり立ち上がろうとしないで欲しい。心臓に悪い。
「Aさん早よしてくれません？」
『わかった！分かったからちゃんと隠して！』
ニヤニヤと笑うショッピに確信犯だと理解しつつも流石に直視することは出来ず私は下を向いたままボディスポンジを手に取った。
※※
「あ゛ー…気持ちいい…」
『(おっさん…)』
腰にタオルを巻いたショッピの白い肌にボディーソープで作った泡を滑らせていく。なんだろう、長い間一緒に暮らしていた猫なのに人の姿だとスラッとした好青年で。なんか変に気が狂ってしまう。
『首の辺り洗うね』
「はーい」
ん、と首の周りを洗いやすくする為に首を軽く上げたショッピ。伏せられ揺れるまつ毛は長く、ぼんやりと本当綺麗な顔してるなと思って見ていれば小さく笑われて。
「…そんなに見つめられると照れるんすけど」
『え、あっ、ごめん』
「…そこは否定してくださいよ」
『え？』
『もういいです』
なんて顔を逸らしたショッピを不思議に思いながら私は首周りを綺麗にするのだった。
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まる(プロフ) - 続編あるのちゃんと見てなくて、｢あとがき」で心臓止まるかと思った…その後の安心感ったらありゃしない…ww 続編見てきます！ (2023年4月11日 2時) (
レス) @page50 id: 33402943a7 (このIDを非表示/違反報告)
お月様 - うわ〜〜！推しが守ってくれるってヤバイよ！次の章も楽しみにしてます！ (2021年3月12日 17時) (レス) id: b347abc4d4 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ@絶望少女です。(プロフ) - ねぇ…推しが尊いんですが！？どうしたらいいんだよｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫオ！！・゜・(つД｀)・゜・ (2021年3月6日 17時) (レス) id: a5be711894 (このIDを非表示/違反報告)
海猫0126 - こんばんは！小説面白かったです^^これからも投稿がんばって下さい！ (2021年3月5日 20時) (レス) id: ecd79149f7 (このIDを非表示/違反報告)
Rin - ちなみに初見です。好きです。() (2021年2月28日 0時) (レス) id: ee43a6ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
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