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22. ※ ページ23

その日からと言うものの、明らかに周囲に妖が増えた気がする。

【ゴはん…ゴハン…食べタい…】
『う…っ』

行く先行く先にそれは現れ声を上げないようにするのにも一苦労。

だけどそんな彼らをいつも近くにいてくれるチーノが狐火で祓ってくれて私は安全に生活していた。

『(チーノありがとう)』
「(これが仕事やから気にせんでや)」

お礼を言う度に笑って頭を撫でてくれる彼。
有難いけど、私だってなにか返したいなぁ…

そう思っていた、ある日の事。



「Aちゃんありがとうなぁ?気ぃつけてな」
『はーい』

放課後保健医の手伝いを終えて帰ろうとした時じっと目を見つめられたが気にせず保健室を後にする。出てすぐの所で待機していたチーノと合流し、開口早々手を掴まれた。

「…なぁなぁ」
『うん?』
「そろそろ、欲しい」

そのまま腕を引かれ整った顔が目の前まで近付けられる。前に飲ませた日から一ヶ月経ってるっけ…

『…血を、ね。言い方少し如何わしいんだけど』
「ええやん。な、頂戴?そろそろ限界やねん」
『わかったから。…この前みたいなことあったらロボロさんに斬って貰うからね』
「怖ァ」

この前の吸血で味をしめたらしく、ルンルンなチーノに屋上へと手を引かれた。



屋上への階段の裏の死角スペース。そこに私は軽く押さえつけられて第一、第二ボタンを解かれ首筋にキスを落とされる。

「んじゃ、いただきまーす♡」
『早く、して…っう』

プツリと牙が立てられぢゅ、と吸い付かれる。相変わらず彼の目を見れば恍惚としていて、興奮してるからかあの耳と尻尾が生えてユラユラ揺れ始める。

可愛いなぁと思っていたのもつかの間、吸血されているからか次第に体が火照り息が苦しくなる。

『…っ?、は…っ』
「A?」
『へ、いき…っ』

どくどくと心臓が早く、脈打つ度にびりびりとした刺激が脳へ送られ体が震える。

なんだコレ

明らかにおかしすぎる。

『…っ、ぅ…はぁ…っ』
「…どしたん。やっぱり変やろ」

顔が真っ赤な私を見てチーノが牙を抜き両手で頬を包んだ。そして保健医に見つめられた事を伝えると顔を顰めて立ち上がる。

「…ちょっとシメてくるわあの人」
『え、ちょ…』

明らかにチーノの顔は赤くなっていて。彼は私が止める間もなく煙と共に姿を消してしまった。

『…どう、しよう…』

体が熱くて、ボーっとする頭で私は動けず体を抱きしめ縮こまらせた。

.

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まる(プロフ) - 続編あるのちゃんと見てなくて、「あとがき」で心臓止まるかと思った…その後の安心感ったらありゃしない…ww 続編見てきます! (2023年4月11日 2時) (レス) @page50 id: 33402943a7 (このIDを非表示/違反報告)
お月様 - うわ〜〜!推しが守ってくれるってヤバイよ!次の章も楽しみにしてます! (2021年3月12日 17時) (レス) id: b347abc4d4 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ@絶望少女です。(プロフ) - ねぇ…推しが尊いんですが!?どうしたらいいんだよォォォォォォォォォォオ!!・゜・(つД`)・゜・ (2021年3月6日 17時) (レス) id: a5be711894 (このIDを非表示/違反報告)
海猫0126 - こんばんは!小説面白かったです^^これからも投稿がんばって下さい! (2021年3月5日 20時) (レス) id: ecd79149f7 (このIDを非表示/違反報告)
Rin - ちなみに初見です。好きです。() (2021年2月28日 0時) (レス) id: ee43a6ccd3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒瀬 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年2月15日 20時

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