#139 ページ33
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『ちょっと彼方早く!間に合わないよ!?』
「ごめんごめん」
月日は流れて、11月3日。俺の誕生日。
なぜ朝から梓に怒られているのかというと、ほぼ俺の自業自得で。
婚姻届を出すのは俺の誕生日がいいとお願いし承諾されたのはいいものの、その日がちょうどひきフェスの1日目と被り、午前中のスケジュールは多忙なものとなってしまった。
しかも、婚姻届で一つだけ書き忘れていた欄があり、スケジュールがおしてしまい、ひきフェス出演者の集合時間に間に合うかわからない時間になってしまったのが、怒られている原因だ。
無事婚姻届は受理されて、晴れて俺と梓は夫婦となったのだが、こうなることは予想していなかった。
乗りたかった電車は逃し、ちかに連絡すればすぐに迎えに来てくれた。
「いつまでも手がかかるなあ」と苦笑しながら、法定速度ぎりぎりのスピードで車を走らせたちかはもう忘れられない。
足早に控え室に向かって、ドアを開ける。
演者全員がすでに到着していて、笑いながら迎え入れてくれる。
「そらるさんギリギリすぎるよ〜」
「梓さん、おはよ〜!」
「じゃあ皆さん!リハーサル始めますよ!」
リハーサル用の服装に着替えた出演者が次々と控え室を出ていく。
梓に荷物を預けて、俺もそのあとに続いてステージに向かおうとした。
『彼方!』
振り返れば、満面の笑みの梓がそこにいて。
『頑張って』
手を振り返して、俺はリハーサルに向かった。
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ひきフェスは両日とも大盛況のまま終わりを迎えた。
2日目はそのまま打ち上げに行こうという話にもなったが、俺と梓は明日…11/5にあげる結婚式のため、家に帰ると告げた。
「あれから、もう一年か」
『早いね』
「明日だよ、ついに。」
『うん、ドキドキしてる』
繋いだ梓の手に力がこもる。
「緊張してる?」
『うん、』
「明日、成功させよう」
『うん』
梓の目から、一筋の涙が伝った気がした。
to be continued…
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こん - 無理しない程度に頑張ってください!応援してます! (2018年10月9日 18時) (レス) id: bc3ee8c138 (このIDを非表示/違反報告)
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