【歌い手】Is she loved by…？

七話。 ページ9

「…ごめん、もしかしたらそれも工作じゃないか…って思ってる。その現場を見てないから俺はなんとも言えない、」

正論を叩きつけたうらたさん。
まぁ…そうですよね。実際に現場を見てないのだから、決めつけるのはいけない。

カメラでも持っていっていたらよかったのかな。

「僕は…！絶対にAちゃんじゃないと思います…！けど、他の人達でもない…！…………だって、そんなことする人なんていないよっ…、みんな、優しいだもん…！」

泣きながら訴えるまふくん。
いいことは言ってる、けどさ。
それって遠回りに花ちゃんが、私を落とそうと自分に刃物を差した、と言っている。

本人はすぐに見つかる計算だったのだろうか。
自分が重症になる、リスクは高かったはず。なぜ、そんな危険な行為をとったのだろう。
自分で意見を言えれば、私を落とす確率も上がったはずだ。

ちらり、とソファーで包帯をお腹に巻き、眠る彼女を見た。

「そうだよっ…！Aはそんなことしないから…！！」

なるせちゃん、ありがとう。
本当に私はいい人に囲まれたんだと思う。
裏切られず、真っ先に自分を庇ってくれる優しい人達。
彼女が起きていれば逆効果なんだろうけど。

「まぁ、見てないことを勝手に憶測するのはいけないよ。みんな、そんな目でAちゃんを見ないであげて。一番辛いのは疑われてるAちゃんだから、」

ここで一番、年上のそらるさんが声を発する。
さすが、年上。という対応だ。私を見る目も冷たいものではない。

みんなも、大先輩からそんなことを言われては何も言い返せず、黙りこんだ。

「……ん、ん、」

…長い、重い沈黙の中。
元凶が目を覚ました。

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