【歌い手】Is she loved by…？

十六話。 ページ18

「…でき、た…？」

「…うん、できたよ…。」

「…僕もこんなに早くできるとは…、」

歌詞と楽譜を前に、三人で驚きの声をもらす。
それもそうだ、曲を作ろうとまふくんから色々とアドバイスを貰いながら作っていたら六時間くらいで終わったのだから。

「…歌おう。はやく、はやく歌いたい、」

「そうだね！届けるのは、はやめの方がいい。」

意気揚々と機材の準備をしていく。
自然と、私の口元に笑みが浮かんでくる。

やっぱり、歌は魔法だ。
人を笑顔にできる。元気づけることができる。希望を持たすことができる。
私も、この歌で魔法をうみ出したい。

どうか、届いて。




「お疲れ、」

「ありがとう、…はやく、動画ができるといいね、」

「頑張って、一週間後にはできるよって返信きたから大丈夫、！」

「本当？やった！」

歌い終わり、Mixのチェックやその他諸々を終わらせ今は動画の依頼をしていたところだ。

よかった、この歌ははやく、届けたいんだ。
届くか…どうかはわからないけれど。
リスナーの皆は別の意味に聞こえる歌詞だろうな。
それならそれでいい。
届いてほしい人に届けば。

「…じゃあ、あとは一週間待つだけだね。」

「…うん、」

「大丈夫、きっと…きっと、届くよ。みんな、大切な人なんだから」

「うん、！…そう、だね、！」

なるせちゃんに背中を優しく叩かれる。
私が暗い顔してちゃ、駄目だね。
笑っていなきゃ。

「そらるさんが呼んでる、…ご飯だって。たまには下で食べようって言ってる、…どうする？」

「…A、」

「…行くよ、」

「…わかった。」

ドアを開け、階段を一歩踏み出した。

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