【歌い手】Is she loved by…？

十五話。 ページ17

「…何、しようか…」

ご飯を食べ終わり、何もすることがなすなった私達。
まふくんは作業があるからと、さっきからパソコンとにらめっこしている。

「…じゃあさ、A。」

「…？」

「…歌わない？この気持ちを。Aはやってない、って歌と俺のラップで届けるの。」

歌…。
そうだよ、私には歌がある。
言葉で駄目なら。
歌で届ければいい。それが名に恥じない勝負の仕方。

そうと決まれば早速、曲選びを。

「…って言っても、そんな都合よく私に当てはまるような曲なんて、ないよなぁ…。」

ボカロ曲は結構、知っていると思っていたのだが。
シリアスな雰囲気の曲ならたくさんあげられる。けれど…今の状況を表すような曲がない。

「…自作、するとか…。」

「…えっ、そ、そりゃ…歌詞なら、少し書いたことあるけど…。…でも、音はつけれないよ…。」

「…そこはさ、」

なるせちゃんが、ニコッ…と言うより何かを企んでいるようにニイッ、と笑う。
そして、ちょうど作業が終わったであろうまふくんの肩を叩いた。
もしかして…。

「…ねぇ、まふくん。俺らで一曲作らない？さっきの話、ヘッドフォンしてなかったから聞こえてたでしょ？」

「…えぇ、いいですよ？」

やっぱり。
そうくると思っていたけれど…。忙しいんじゃ…。
そんな私の考えを汲み取ってか、まふくんはしばらくはオフですよ、と微笑んだ。

「…じゃ、疑いを晴らすとしましょう、」

私はレターなんだ。
私はやっていない、その思いを届けなくちゃ。

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