幸せな家族のはなし３ (ページ33)

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［変わらない眼差し］ページ33

和也side

「あ。こんな日もするんだ」

「ん。そろそろスタメン発表あるしさ」

「そっか」

そろそろ就寝の時間。

けれど、部屋の大きなベッドには
ゲームしている俺だけが寝転がっている。

もう1人の一緒に寝るつもりである潤はまだ
マットの上で体幹と筋トレ中。

さすかストイック。抜かりないよね。

俺だったら
今日はいいか～って思うのに。

だってリフレッシュ出来る日だよ？

それなのに黙々と自分の決めた
メニューをこなしてる。

「あと何セット？」

「1」

「じゃ俺が数える」

「ゲームは？」

「経験値上げだったからいいの」

ゲーム機をサイドテーブルへ置いて、
ベッドへ腰掛ける。

それから潤の携帯を借りて
アラームをセット。

「よーい、スタート」

アスリート並に突き詰める潤は
最後のセットだからといって抜かりはしない。

しっかりと自分の限界まで追い込んで
筋肉を震わせながらも耐える姿は
俺には到底真似できない潤の凄いところだ。

「はい、あと20秒」

「っ、はぁー……」

呼吸を止めないように、眉を寄せて堪える。

それを見てるとなんだか俺までキツく思えてきて
じっと数字を見つめ、終了時間を待ち続けた。

ピピッ

「はい終了」

「ああ～！はあっ……キッツ……！」

「お疲れ様」

終了の声とともに
べしゃりとマットに崩れた潤。

呼吸を整えながらも表情は明るく、
今はきっと耐え抜いた自分の体に
喜んでいるのだろう。

なんか。

普段からストイックな潤だけどこういう時は
ただのMなのかなんだかわかんない。

それくらい自分を追い込んじゃってるから。笑

けどその努力は惜しみなく、
その分の成果がきっちり体に現れている。

「ん？なに？」

「なんか、また筋肉ついた？」

「いやぁ？変わんないと思うけど」

いや変わった気がする。

ってか背も伸びてるよなこれ。

中学辺りまでお互い変わらなくて
むしろオレの方が背も高かったはずなのに。

いつの間にか成長期というやつに抜かされて
体格もひょろっひょろの俺とは、大違い。

双子だから大差は全然ないけど、一応兄としては
複雑というか、微妙な気持ちなのが心情だ。

それでも、それだけ潤が頑張ってるってことを
俺が1番よく知ってると自負してる。

だからか。

複雑と言ってもそれは感覚の問題で、
実際にはそんな潤の変化が誇らしくあった。