幸せな家族のはなし３ (ページ30)

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［７－３］ページ30

潤side

「も～。言わなきゃよかったよー」

「んふ、俺も引くと思わなかったもん」

ふふっと思わず笑ってしまっている和と智にぃ。

今のは明らかに智にぃが
ジョーカーを引いたのが分かる。

叔父さんもどこか体の力が抜けてるし。

あ。深呼吸が止まった。

「えぇ～、じゃあ、これ、これ……」

「んふふっ」

智にぃと和が向かい合って、
じっくりと心理の読み合い。

でも智にぃは和に勝てそうにないと感じてるのか
はたまたさっきのダメージからか、
小さな笑いが止まらなくて「ダメだ」と俯く。

「笑ってんじゃないよ」

「だって和に勝てそうにねーんだもん。笑」

やっぱり。笑

「よし！じゃあもう決めます！」

和の持っているカードは2枚。

ここで1つでもペアが出来れば
1抜けが確定する。

「ど、れ、に、しーよーうーかーな」

和が人差し指で智にぃのカードを弾きながら、
音に合わせて目線を動かしていく。

そうして最後の音で止まったカードを
今度は人差し指じゃなく手で触れて。

それから智にぃの表情を見つめながら
和がそのカードを引き抜い……

「あ。これジョーカーですね」

「え？」

静かに智にぃへ呟いたあと、
和は引き抜きかけたカードを
戻して隣のカードを引く。

そしてそのカードが和の手元へ来たとき
目がキラキラと光って、元々持っていたカードと
一緒に揃ったペアを場に見せた。

「うわー！和が上がったー！」

和の流れにのまれていた雅紀にぃが
感心するように声を上げる。

反対には「くっそ～」って項垂れる智にぃの姿。

そしてそんな智にぃを哀れなように見つめる
叔父さんと翔にぃ、と俺。笑

「なんだよ～、また負け無しかよ～」

「すいませんねぇ、潤♪」

1枚となった和のカードを嫌々ながらも
俺が引き抜く。

同時に1抜けが確定した和は「やったー！」と
嬉しそうに両手を上げて微笑んだ。

「あーあ。なんで和はわかるんだろ」

顔を上げた智にぃが本気で不思議そうに
自分のカードを見つめている。

それに「本当にジョーカーだったんだ」と
苦笑いを浮かべて、俺は出来たペアを場に
捨てたあと翔にぃへ手札を向けた。