幸せな家族のはなし３ (ページ28)

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［７］変わらない洞察力ページ28

潤side

「じゃあ叔父さんから右回りね」

「よぉし、智引け！」

後半はひたすら和と慰めあっていた
あの地獄の花火を遊び終えて、
それぞれが入浴し終わったあと。

未だ特別な日に高揚感が残る俺達は
まだまだ寝る気はなくてリビングに集まって
今度はカードゲーム大会が始まった。

といっても、
単なるババ抜きなんだけど。笑

「いや智にぃ、やたらカード多いな！」

叔父さんの手札から引いたカードで
ペアが出来たものの智にぃの手札が多い。

それでもそこから和がカードを引くと
ペアが完成して、にっこりと微笑みを向ける。

「いくよ？」

「うん」

次は和の手札から俺がカードを引く番。

まだ序盤だからとサラッとカードを引けば、
ペアが出来て俺も和と同じく微笑んでみた。

「んーまだ分かんないな～」

じっと俺の手札を見ていた引く番の翔にぃだけど
案外あっさりにカードを取って、ペアの完成。

それからずーっと黙って緊張している
雅紀にぃが引く順番となった。

「翔にぃ、持ってる？」

「持ってないよ」

「本当に？信じていい？」

「うん。大丈夫」

「じゃあ、これにしようかな。
……いや、それともこっち」

「雅紀、まだ始まったばっかだから。笑」

1周目にして早くも心理戦を持ちかけてきた
雅紀にぃに、困った顔で笑っている翔にぃ。

けど雅紀にぃは真剣にカードを選んで、
決めたカードさえ慎重に引いてく。

まあ、雅紀にぃが慎重になるのも
無理はないというか、なんていうか。

少しホッとした雅紀にぃの表情から
ババは引いていないみたいだ。

けれどかといってペアも出来ることはなくて
叔父さんへと自分の手札を向けた。

「この流れでペアないの？」

「ん。ない」

「えぇ～？
雅紀にぃ相変わらず弱ぇなぁ～」

「うるせっ！俺も揃うと思ったよ！」

和が「くふふ」っと面白がれば
素直に雅紀にぃが反応する。

それがまた面白い和は再度いじって、
彼のペースに持ち込まれていることに気づいてない
雅紀にぃは分かりやすく引っかかっていった。

「よし、引くぞ～」

ケラケラ笑っている叔父さんが
なんの躊躇いもなく雅紀にぃからカードを引く。

手札もたくさんあるし
ババがないのは分かるもんね。

それでも熾烈な戦いをしているかのような
表情で待つ雅紀にぃが面白くて
さすがにそれは全員で吹きだした。

ほんと、なんでこれだけ真剣なのに
雅紀にぃってババ抜きが弱いんだろう。笑