［６−５］ ページ27
潤side
「……潤」
「……和」
和と顔を見合わせる。
今この世で唯一同じ情けを掛け合える存在だ。
お互いに、コクリと頷き
この後の悲惨な光景へ飛び込むように立ち上がる。
火がついた花火の光が、
ふんわりと広い範囲へ舞った。
もう。
どうなってもしんね〜。笑
そう決意したあと、半ばやけくそに
持っている花火を目の前へ上げる。
綺麗に散っていく花火を、リボンを回すように
くるくる円を描いていって。
それから雅紀にぃの助言された通り
まるで魔法をかけるように、叔父さんとにぃ達へ……
しゃらしゃら、ぽんっ____
少しの静寂。
そして。
「っ……」
双子である和と俺。
「か……」
それが、
よりにもよって2人して。
「かっわい〜！」
人生最大の、黒歴史が生まれました。
「翔！ カメラは？！」
「ギリギリ動画回せたぁ〜っ！」
稀に見る速さで智にぃが
翔にぃへ顔を向ける。
それから智にぃと雅紀にぃ、叔父さんが翔にぃへ
破顔したまま「よくやった！」ってグーサイン。
いやいや……
いやいやいやいや……！
「よくねぇーわ！」
「よくねーよ！」
なんでグーサイン！
今この瞬間に俺と和の黒歴史を
記録として残しておいて？！
しかもその記録、子供ならまだしも高校生2人が
花火を魔法に見立てておまじないしてるって！
一体どこのマニアが喜ぶの？！
叔父さんもにぃ達もさすがに盲目すぎるって！
「翔、それあとで送ってね」
「あ、俺も頼む！」
「俺もー！」
あ〜！
もうっ！
「今すぐ！！！」
「消せー！！！」
まだ打ち上げ花火を残した海辺。
そこへ無慈悲にも火花を散らしたのは
黒歴史絶対撲滅を心から込めた和と俺の、
叔父とにぃ達への必死の叫びだった。
普段の俺たちなら絶対しないのに！
恐ろしすぎるな花火マジック……！
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kammostsluvamos(プロフ) - 一気に読みました！幸せな気持ちになりました！続き楽しみにしています！ (2020年7月6日 15時) (
レス) id: e05623e0c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あやりゅ。 | 作成日時：2019年7月14日 15時
