［４−３］ ページ33
和也side
「頑張れ！」
「行けー！」
「回れ回れ！」
午後イチの練習試合。
4回まできてるけど早くもいい試合が始まっている。
点数は2-1。うちが1点リード。
両校とも強いのに多分同じ位のレベルだから
テンポもいいし、見てる側はすごく楽しめる。
それに俺も中学の頃は潤と一緒のチームに
入っていたからか、野球の面白さは知ってて。
だから今のストレートは良かったなーとか
逆に惜しいなーって案外熱も入っちゃったり。
「走れっ！」
そして面白い試合を置いて見れば
ベンチで人一倍熱く声援を送る潤。
頬も少し赤くして、真剣に勝負を見つめている。
「凄いなぁ。カッコイイわ」
ガッツリ日陰に入って
塩飴をコロコロ舐めて言うことじゃないけど。
やっぱカッコイイよね。
こうやってさ？
自分が出てないのに一喜一憂できるっていうの。
俺にはそんな長いこと出来ないなぁ。
潤みたいに気力が極太にないから
すぐ疲れちゃう。
それに真剣に取り組んでる感じがいいよね。
青春してるな〜て思うじゃん。
あ、写真撮ってにぃ達に送ってやろ。
携帯を取り出して仲間へ声援を送る
潤を激写。
それからにぃ達へそれを送り、
またもう一度試合へと目を向けた。
「お、いいな」
潤のチームが少し優勢の状態。
それを見ながら俺はぶおーって回る
ハンディ扇風機を顔へ当てて。
さっき潤の仲間から渡された2台も
挟むように風を流していて首元に巻いてる
クールマフラーからくる冷たい風が心地いい。
うん。
これなら第1ゲーム見て帰れるな。
いや余裕なんだけどさ。
潤が第1ゲームで帰れって言うから。
心配症なんだよね。
まあ比較的人より体調を崩しやすいから
大人しく言う通りにしますけど。
「おっ！ 潤だっ」
そうこう言ってればもう5回裏まできていて
代打で潤が2年の先輩と交代して出てきた。
俺はすぐに携帯を取り出して
後でにぃ達に送る用に動画を回す。
「潤〜！ 頑張れー！」
届くか分からないけど声を張って
声援を送ってみれば、チラッと俺を見つけた潤。
そしてニコって笑ってから
真剣な顔で相手のピッチャーに狙いを付けた。
ふぅ〜わっ。
うちの末っ子、すげぇカッコイイな！
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作者名：あやりゅ。 | 作成日時：2019年6月19日 0時
