幸せな家族のはなし２ (ページ4)

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智side

ススッ……

「あ、起きてた？」

2階の双子の部屋ではなく1階にある和室。

そこで寝ている潤の様子を見ようと静かに
襖を開けると、パチリとした潤と目が合った。

「ん。今起きた」

「体は？」

「ちょっと楽になってると思う」

「そっか。
食欲はある？一応今うどん作ったけど」

「あっ、食べたい。お腹空いた」

「分かった。じゃあ持ってくる。笑」

うん。食欲もあるみたいだし。

この様子だと熱も長引きはしないだろう。

「待ってて」と潤に言っておいて
和室をあとにし、キッチンへ向かう。

リビングを通らなくても廊下から直接キッチンと
繋がるドアがあるからそこを通って中へ。

「和～？」

「……もう雅紀にぃしつこい」

リビングの奥にある応接間のソファーで
何やら言い合ってる雅紀と和。

それをリビングの椅子に座って
少し離れた位置から見守っている翔がいた。

「翔、やっぱりそうだった？」

「うん。んで今は
絶賛雅紀が和に嫌がられてるところ。笑」

キッチンから翔へ声をかけると
困った笑い顔で事の経緯を話してくれる。

俺はそれを聞きながら出来たてのうどんを
うどん鉢へ入れて取り皿とお箸をお盆に乗せて。

「まあどうせ俺も雅紀に加勢するから、
智にぃは潤のとこ行ったげて？」

「分かった。じゃあそっちはお願いね。
あ、加勢はいいけどほどほどに」

「はーい。笑」

翔にそう言って冷蔵庫の中からお茶を取って
お盆と一緒に来た道を戻る。

和室に着いたら一旦
お茶とお盆を床に置いて襖を開けた。

「持ってきたよ」

「ありがと」

「ほら、出来たてだからだいぶ熱いけど」

うどんを乗せたお盆をちゃぶ台へ置いて
起き上がる潤を手助けしながらおでこを触る。

「寝る前よりは下がったっぽいね」

「うん。悪化しなくてよかった。
酷くなったら部活行けないもん」

「んふふ。そうだね」

努力家な潤は1回の練習も休むのが惜しいみたい。

その一生懸命さがたまにこうして
崩れちゃうけど。

これも潤のいいところかな。

スポーツドリンクを手渡して
熱々のうどんを取り皿へ移してやる。

「ありがとう」と皿を受け取った潤は
ふーふーしたあと、もぐっとうどんを食べた。