幸せな家族のはなし２ (ページ25)

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［３－３］ページ25

和也side

「そっか。雅紀が庇ったんだね。
バイトの子は？怪我してなかったの？」

「うん！それどころかすっごい謝られてさぁ……
ちょっと、申し訳ない気になっちゃった」

そう言うと何故か雅紀にぃまで
申し訳なさそうな顔をして俯く。

ほんと、こういう所が雅紀にぃらしい。

咄嗟にでもその子を庇ってあげたはずなのに
自分が怪我をした事で相手を責めてしまった。

そんなふうに無闇に落ち込んじゃうんだよね。

優しすぎるから、雅紀にぃは。

でも急に雅紀にぃは顔を上げたあと
俺と潤を見つけて暗い顔はいなくなる。

すぐにケロッと笑って「いただきまーす！」と
夕飯のメンチカツへありつき始めた。

いや。切り替え早いな。

こっちはちょっと心配になってたんですけど。

明らかに大きすぎるメンチカツを一口で入れた
雅紀にぃはすぐさま「美味しい！」とご機嫌模様。

「はぁ」

もう雅紀にぃワールドでも空元気でも
どっちでもいいや。

触れられたくないなら俺らも知らんぷり、だ。

けどこれだけ言わせてもらいましょう。

「雅紀にぃ、早く良くなってね」

「うん。俺らも、手伝うから」

和やかなその場に俺の声が響き、待っていたように
潤があとの言葉を繋げてくれる。

うん。潤も同じ気持ちだよね。

潤と顔を見合わせればさっきとは違う、
落ち着いた、きっと俺と同じ顔をしている。

そして俺たちの思いは
ちゃんと雅紀にぃに伝わったみたい。

雅紀にぃはお箸を置いて、嬉しそうに俺と潤の頭を
右手で撫でたあと「ありがとう」と言って微笑んだ。