幸せな家族のはなし２ (ページ19)

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雅紀side

「ね、雅紀……この道遠回りしない……？」

「だーめ。早く帰ってくるよう言われてる」

翔にぃを保護して車を走らせること30分。

そろそろ家に着く。

俺らが家に着いたら智にぃと双子が待ってて
きっと手厚い看病が施されるだろう。

そりゃあもう、大袈裟なくらい。

あとお説教も。笑

けれどそれすら察してる翔にぃは、嫌そうに
目はつぶりながら少しだけ駄々をこね始めていた。

「……着いても……起き上がれないよ。
この体勢じゃないと気持ち悪いから……」

「翔にぃ～？」

らしくない言い訳を始めた翔にぃを
じぃーっと見つめる。

そしたら居心地が悪そうに「ホントだよ」だって。

そうは言うけど、実際のところ智にぃに
会うのがちょっと怖いんだろう。

さすがに今の翔にぃに怒るつもりはないだろうけど、
まあどんな表情で迎えるか、目に見えてるよね。笑

「雅紀……もうちょいゆっくり……酔う」

その言葉は時間稼ぎか、はたまた本当か。

それでも本当だったらいけないから
少しだけスピードを落とす。

それでもまだ嫌そうに「次信号真っ直ぐ」なんて
目をつぶって方向分かってないくせに
言ってのける翔にぃに苦笑いが浮かぶ。

俺を困らせたって
智にぃがご機嫌になるわけじゃないのに。笑

けどなぁ。
このままごねた翔にぃを放っておくわけにいかない。

だって絶対しんどいだろうから。

さっきから動悸がするのか呼吸も浅くて
内心ヒヤヒヤしてる。

だから少しでも大人しくしててほしいんだけど。