違恋 (ページ10)

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時よ、止まれと願ったのにページ10

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｢俺さ、好きなやつできた｣

湧くんからそう聞いた時一瞬俺たち3人の時が止まった。

｢え、？だれ？｣

Aであってくれと願った想いはすぐに儚く散った。

｢バイト一緒の最近入ってきた後輩。｣

あぁ、俺どうしよ。

『わたし、湧のこと好きなんだ、』って夜景を見に行った日にAが嬉しそうに言った言葉。

本当はもっと前から湧くんが好きなことはうすうす気づいてた。

あの時の笑顔を俺は忘れることができなくて、
この子の笑顔を守りたい、幸せになって欲しいと思ったから

俺の気持ちには蓋をしたのに。

｢どんな子なの？｣

そう聞いたうっちーに嬉しそうに続けた湧くんの言葉は俺の胸を切り裂くのには簡単で

｢ショートカットで金髪なんだけどさ、俺が話しかけても超つんつんなんだよな笑、逆にそれが俺にハマって笑｣

Aと真逆じゃん。

Aはロングで真っ黒な髪。女の子らしいふわふわとした雰囲気に甘え上手な性格。

｢わくのタイプって黒髪のロングじゃなかった？｣

そう聞いた黒ちゃんの目も不安に駆られてるようで、

｢まぁ、あくまでもタイプだからな、｣

正直今にも出そうな拳に横に座ってたうっちーが、俺の手を包み込む。そして首を振ったうっちーの目はいつもより真っ直ぐで。

多分Aは自分の恋愛のせいで俺たちが仲悪くなることは望んでない。

｢よかったやん｣

そう呟くことだけで精一杯だった。

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