・ ページ38
・
「はい、黒ちゃん水飲んで、」
コンビニで買ったペットボトルの水の蓋を外して完全に颯太にもたれかかってる黒ちゃんに渡せば「いらないよー！」と言いつつもごくごくと飲んでいる。
あのあと、拳を俺に突き出した黒ちゃんは、
「もう湧の味方にも深田の味方にもならない。俺は自分を応援するから」
ってかっこよく決めてきた黒ちゃんに俺も「俺も自分を応援することにする」って拳を重ねた。
それからというものいつもの黒ちゃんに戻ったのか、
完全にいつものようにできあがってしまった。
「もう湧！！ちゃんと男になれ！意気地無し！！」
なんて結局俺の事応援してるのかよくわかんない黒ちゃん。
結局、黒ちゃんも颯太もAも、もちろん深田も良い奴でまた5人で集まれる時来るのかななんて
月の明るさだけが俺たちを照らす夜に寂しくなった。
「湧、ふたりで話したい。」
黒ちゃんを家まで送り届けたあと颯太と話すためにきた俺の家。
颯太とは真剣な話をすることなんて無かったからやけに緊張する。
「湧、依存でできる恋って幸せになるのかな？」
こいつは案外頭がいい。しかも全部直球勝負なんだ。
黙り込むしかできない俺に
「湧とAあの時は依存してた。お互いがお互いを必要としてて、
だから俺は湧がAから離れた時ちょっと嬉しかった。
依存っていいように聞こえるかもしれないけどハマればはまるほど抜け出せなくて、お互いを縛り上げるんだよ｣
そういった颯太はいつものようなふわふわ感なんてなくて、余計俺の心を抉った。
「でも今はAと深田がお互い依存しあってるように思う。
俺はそんなのしなくてもお互いがお互いを信頼出来るそんな恋の方が幸せになると思う。
でも今のままだと2人とも壊れちゃう。俺はそんなの望んでない。
みんなには幸せでいて欲しいし、俺も幸せになりたい。
幸せは自分から掴みにいかないと後悔するんだよ。
だからさ、湧もう我慢なんてしないで？｣
弟みたいな颯太にはじめて縋り付くように泣いた。
「俺どうしたらよかったのかな」って泣いた声に
颯太は聞かないふりをしてくれた。
人は悩んで、時には過ちを繰り返して成長する。
正解なんて存在しない。自分で決めた答えが不正解でも正解になってしまうのだから。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 881人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にゃん | 作成日時：2023年3月23日 18時
