違恋 (ページ22)

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「もう、A呑みすぎやって、やめな？」

そう俺が声をかけるAは既に明日には記憶がないだろうなっていう状態。

Aのグラスに入ってたお酒を全部飲み干して代わりに先程頼んでおいたお水をAの口に持っていく。

「もう、やだぁ、お水いんない」

「だーめ、飲んで！」

今の気持ちをお酒に当てるかのように呑んだAは他の人よりも早くできあがってしまった。

「A大丈夫か、」

あぁ、完全にAに夢中になりすぎていた。

心配するようにAの横に腰をかけた湧くんはAの顔をのぞき込む。

ほら、彼女がこっちを見てる。

「大丈夫、湧くん彼女1人になっちゃうよ？」

「あぁ、あいつは大丈夫。酒強いし、しっかりしてるから」

そんなことないよ。彼女こっち見てるよ？とは言えなかった。
俺は弱いまんまだから。

なんであんなにAの気持ちを察するのは得意だったのに今の彼女の気持ちは察せないんだろう。

「んー、深田ぐるぐるする｣

隣に湧くんがいるのにも気にせず、Aは俺に寄りかかってくる。それが少し優越感では無いけど、嬉しかった。

「酒弱いの変わんねぇのな」

そう呟いた湧くんの感情を読み取ることは出来なかった。

「俺ら、先帰るわ、ほらA立って、」

ふらつくAの肩を抱いてもう片手にはAの荷物を持ってその場を後にした。

背中に痛いくらいの湧くんの視線を感じながら。

流れる時間と共に人は変わるのか、

俺は変わんないと思う。

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