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人違いそう思いたかった。
でも確実に目の前にいるのは湧とその横にはインスタでしか見たこと無かった湧の彼女さん。
深田も2人の姿を見た瞬間に来た道を戻ろうと私の手を掴んだけど、橋本先輩に見つかってしまって最後に来た私たちは自然と湧と彼女さんの前に座るしか無かった。
もう大丈夫だと思ったのに、初めて会う彼女さんに友達の湧としてじゃなくて彼氏をしている湧にまた少し心がざわめいた。
「なんか久しぶりだな、夏休みだし！あっそういえば俺の彼女とあったこと無かったよな！みりって言うから仲良くしてやって！｣
「こいつ、女友達少ないからさー」
って続ける湧の話なんて入ってこなかった。
「はじめまして！みりです。Aさんですよね？湧くんからお話聞いてます！」
って見た目とは違って敬語で恥ずかしそうに話しかけてくるみりちゃん。
「はじめまして、Aです。」
「なんか今日A元気なくね？」
あぁ、久しぶりだこの感覚。しんどい、辛い。
精一杯笑顔を作ったつもりだったのに、笑えなてなかったらしい。
「Aと深田こっちこいよー！」
やっぱりこの人はよく私のことを気にかけてくれる。
1番遠くにいたはずなのに。
「A行こ。」
「ごめん、俺も湧いること知らなくて」
瑞稀くんの前の席に2人で腰掛けると直ぐに下げられる頭。
私が自分から失恋した話をした相手は数少なくて、黒ちゃんにうっちーにあとは瑞稀くんだけだった。
きっと織山くんには察されていたけど。
「A辛いなら帰る？俺上手いこと言っとくし、」
でも、これ以上は誰も巻き込みたくない。
「ううん、大丈夫だよ、もう大丈夫。」
口から出てくる言葉は全部嘘なのに、
きっと優しいこの2人はすぐに気づいたはずなのに「そっか、」って笑うだけだった。
その大丈夫はきっと自分を自己暗示させるためでもあったのかもしれない。
「ねぇ、深田とAって付き合ってんの？」
既に酔った橋本先輩が瑞稀くんの横に腰かける。
「付き合ってないっすよ。」
「えぇ、2人ともお似合いだから付き合ってると思った、」
「ちょ、はしもっちゃん酔いすぎだから」
その時に感じた視線に私は目を逸らした。湧がこっちを寂しそうな顔で見ていたから。
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作者名：にゃん | 作成日時：2023年3月23日 18時
