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四十三話「窮鼠猫を噛む」 ページ44

「おのれ……!」

「少しの間、眠っていてください」







お兄ちゃんに銃を向ける樋口さん。
そんな樋口さんに私は異能を掛ける。
樋口さんに向けて風を吹かせ、気絶寸前まで脳にダメージを与えたのだ。
死なない程度にすれば気絶しただけで済む。
今の私はこれくらいしかできない。
でもそれがお兄ちゃんの助けとなるのなら、喜んでそれを引き受けよう。
例えそれが、人を殺めるようなことでも……




「『羅生門・顎』」


「!」






私に向かって羅生門が飛んでくる。






「ち……生け捕りの筈が」







お兄ちゃんが私を庇って羅生門に真っ二つにされる。
切り口からは勢いよく血が吹き出た。
当然私もその血を浴びる。
虎はそのあと、地面に倒れ、消えた。
………消えた?
そういえば、血独特の鉄の臭いにおいがしない。
明らかにこれは不自然だ。
私はもう一度服や体に付いた血を確認する。
これも不自然なことに、先刻付いたばかりの血が綺麗さっぱり消えていた。
ああ、そういうことか。









「『細雪』……!」







谷崎さんが異能力を使っていた。
周りを見渡すと、先刻谷崎さんが異能を使ったときのように緑色の雪が降っていた。
つまりこれは虚像、偽物だ。
なら本物のお兄ちゃんは何処かにいるはず。







「(!)」








煙の中からお兄ちゃんのギラッ光る目が見えた。









「今裂いた虎は虚像か!……では」


「やっちまえ、お兄ちゃん……!」









煙から虎が現れる。
反射的に羅生門を出した芥川。
虎は芥川に飛びかかる。
虎は獲物を狩るように、黒獣は反撃をするように。
白と黒、互い違いの色がぶつかろうとしているのだ。
……だがそのとき、あの聞き慣れた緩い声が聞こえた。








「はぁーいそこまでー」

四十四話「救世主」→←四十二話「呪われた兄弟」



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作品ジャンル:アニメ
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+アリス+(プロフ) - 野良神さん» 誤字の指摘ありがとうございます。すぐに直しますね。 (2018年12月24日 10時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
野良神(プロフ) - 13ページの異能力が維能力になってますよ! (2018年12月24日 9時) (レス) id: 98ee09b097 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - issuさん» 判りました。こちらの不具合かもしれないので直してみます。この作品を見てくださりありがとうございます (2018年10月13日 21時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
issu(プロフ) - はい! (2018年10月12日 22時) (レス) id: 9f68ff9d03 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - issuさん» イメ画は設定のところにあるもののことでしょうか? (2018年10月12日 20時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:+アリス+ x他1人 | 作成日時:2018年4月6日 17時

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