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三十二話「死神と人虎と兄弟と」 ページ33

A立ち去ると同時に、樋口の携帯電話が鳴った。
そこには芥川と画面に表示されていた。
樋口はすぐに探偵社のトイレの個室へ隠れる。
勿論、話の内容を聞かれてはいけないからだ。






「はい、なんでしょうか?芥川先輩」


『人虎は見つかったか?』


「ええ……今は探偵社のオフィスにいます」


『ならいい』





誰にも聞かれないように、小さな声で喋る樋口。
そして一つの疑問を芥川に尋ねる。





「あと……」


『ん?何だ』


「……本当にあの子が『死神』なのですか?」







『死神』と謎の言葉を口にする樋口。







『何故そう思う?』


「あんなにニコニコした少女が、人を殺めたなんて考えられません。
確かに見た目は大人びていて美しいとは思いますが、まだ十四の少女です。
それに彼女は『赤い目』ではありませんし」








樋口のなかに広がる疑問。
あの少女からは殺気なんて感じなかった。
自分の目を『綺麗』と云ってくれたときも、
Aの目を『素敵』と云って顔をほんのり赤く染めたときも、
普通の可愛らしい少女にしか見えなかった。
……そんな彼女が過去のあの大事件を起こした犯人なんて、樋口は考えられなかった。








『いいや、あいつが『死神』だ。
間違いない、そのまま作戦を実行しろ』


「……はい、わかりました」








そう云って樋口は携帯を閉じた。
トイレの個室の壁にもたれかかる。
『何故』『わからない』『どうすれば』
そんな言葉が頭のなかをぐるぐると駆け巡る。
樋口はどこか浮かない表情をしていた。









「(樋口さん……遅いなあ…)」







そしてAは、これから始まる大きな嵐に気づくことが出来なかった。

三十三話「生まれつきですから」→←三十一話「綺麗な目」



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作品ジャンル:アニメ
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+アリス+(プロフ) - 野良神さん» 誤字の指摘ありがとうございます。すぐに直しますね。 (2018年12月24日 10時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
野良神(プロフ) - 13ページの異能力が維能力になってますよ! (2018年12月24日 9時) (レス) id: 98ee09b097 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - issuさん» 判りました。こちらの不具合かもしれないので直してみます。この作品を見てくださりありがとうございます (2018年10月13日 21時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
issu(プロフ) - はい! (2018年10月12日 22時) (レス) id: 9f68ff9d03 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - issuさん» イメ画は設定のところにあるもののことでしょうか? (2018年10月12日 20時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:+アリス+ x他1人 | 作成日時:2018年4月6日 17時

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