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二十九話「備えあれば憂いなし」 ページ30

「これは……必要かな」






ただいま人生初の仕事に行くため、荷造りをしています。
『仕事』と云う言葉に、少し浮かれ気味な私をお兄ちゃんがぎょっとした目で見ている。









「A……何を持っていこうとしているの?」


「えっとね、証拠を撮るためのカメラでしょ」


「うん」


「護身用のサバイバルナイフとハサミ」


「……うん?」


「あと、辞書とメモ帳と筆記用具、あとはスタンガンかな。
国木田さんが異能力でスタンガン出してくれたの」


「………え?」









これくらいあれば十分でしょ。
因みに私とお兄ちゃんだけじゃ心配らしいので
谷崎さんとナオミさんについていって貰うことになった。








「色々突っ込みたいけど、まず何で護身用にハサミ?」


「サバイバルナイフだけだと不安だし、何より切れ味がいい」


「辞書は?」


「いざというとき鈍器になる」


「……スタンガンは?」


「護身用の最終兵器。自分の身は自分で守る」







そう、私は主に護身用グッズを持っていこうとしている。
お兄ちゃんは少し青ざめている気もするけども……





「って怖いよ!護身用って密輸業者の証拠を掴むだけだよ!?」


「備えあれば憂いなし」


「備えすぎだよ!」






お兄ちゃんに交渉され、結局辞書とハサミは置いていくことになった。
肩にかけるタイプのバッグに先程の荷物を入れる。






「おい小僧、小娘」






そこに国木田さんが声をかけてきた。






「不運かつ不幸なお前たちの短い人生に些か同情が無いでもない。
__故に、この町街で生き残るコツを一つだけ教えてやる」






国木田さんが手帳から一枚の写真を取り出しお兄ちゃんに手渡す。
私はお兄ちゃんの横からひょこっと顔を覗かせ写真の人物を確認した。







「こいつには遭うな。遭ったら逃げろ」






そこに写っていたのは、黒髪で毛先が白く、瞳孔に光がない
……まるで心が無い怪物のようだった。






「この人は?」

「マフィアだよ」





太宰さんが何処からともなくひょいッと現れた。
私は驚いて思わずお兄ちゃんの背中に隠れてしまった。







「何も逃げること無いのにぃ」






太宰さんが顔をずいっと近づける。
反射的に後ろに下がる。
…この人は読めない。
前職も全くわからないし、何者なのだこの人は。

三十話「物騒な街なんです」→←二十八話「ヨコハマ ギャングスタア パラダヰス」



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作品ジャンル:アニメ
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+アリス+(プロフ) - 野良神さん» 誤字の指摘ありがとうございます。すぐに直しますね。 (2018年12月24日 10時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
野良神(プロフ) - 13ページの異能力が維能力になってますよ! (2018年12月24日 9時) (レス) id: 98ee09b097 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - issuさん» 判りました。こちらの不具合かもしれないので直してみます。この作品を見てくださりありがとうございます (2018年10月13日 21時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
issu(プロフ) - はい! (2018年10月12日 22時) (レス) id: 9f68ff9d03 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - issuさん» イメ画は設定のところにあるもののことでしょうか? (2018年10月12日 20時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:+アリス+ x他1人 | 作成日時:2018年4月6日 17時

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