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六話【犬猿】 ページ7

「うげえっ、何で蛞蝓がこんなところにいるのさ……」


「それは此方の台詞だ包帯野郎!」






太宰が嫌いな食べ物を前にした子供のように顔を歪ませる。
現れたのは橙色の髪が特徴的な小柄な男性だった。





「知り合い……なのか?」


「ちょっとやめてよAちゃん!
こんな奴知り合いとも呼びたくない!」


「ハッ、それはお互い様だろ糞太宰」


「知り合いじゃなかったら何ですか」


「知らない、こんな野良犬。
ちょっと私犬嫌いなんだけど、こんなところで吠えないでくれる?」


「誰が犬だ!」


「ええ……」






二人の怒濤のやり取りに唖然とする。







「Aちゃん紹介するね。
この小学生が……おっと失礼この人は」


「手前わざと云っただろ!」


「あー五月蝿い五月蝿い」


「ッたく……俺は中原中也、ポートマフィアの五大幹部の一人だ。
判ったらこの糞野郎を何とかしてくれ」


「あーヤダヤダ。Aちゃんあっち行こう。
脳筋が伝染る」


「ンだと!?」


「何さ」







お互いがお互いの顔を睨み付け、今にも喧嘩が勃発しそうだ。
否、もう既に始まりかけてる。







「それよりこの女はなんだよ」


「えっ」






二人の喧嘩が飛び火してAに矛先が向かう。
これ以上厄介なことに関わりたくない。
誰か助けて。







「Aちゃん。記憶喪失の十八歳。
私と同じ部屋だったんだ。いいでしょ〜!」


「(余計なことをッ!)」






太宰がAに抱きつき、中也に自慢する。
Aはこの世の終わりのような顔をして立ち尽くす。
ああ……終わった……。







「十八歳ィ!?未成年じゃねえか!!
おい手前、太宰から離れろ!
何されるか判ンねえぞ!」


「そんなことないよAちゃん。
何てったって私たちは同じ苦痛を共にした仲なのだから」


「ッ誤解を生むようなこと云わないでください!」


「ふふふ……可愛かったなあ、真っ赤になった君の顔」


「何でそれを云うんですか!!」


「そうなのか……?」


「誤解です!私被害者!!なにもしてない!」









記憶喪失で、変な誤解をかけられて……ああ、頭が痛い。
もうこのまま死んだ目をして黙っていようか。
そんなときだった。






「太宰さん、こんなところに居られたのですか。
此れも何かの縁でしょう、今日こそ(やつがれ)の……」


「ああ!芥川!お前もいたのかよ!」


「チッ……」





また嵐が来た。

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+アリス+(プロフ) - 怪盗MOONさん» ふふふ、どうでしょうか……。此れからのお楽しみです。 (2019年7月21日 12時) (レス) id: 00e250021f (このIDを非表示/違反報告)
怪盗MOON - なるほど。道化師は異能力者で、此のデスゲーム、・・・日い、“脱落者ニハ死ヲ与ウル”は道化師の異能と云う事か・・・。(と、云うのが私の推測です。) (2019年7月20日 15時) (レス) id: b5aabf0ca5 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - あいどんとすぴーくいんぐりっしゅさん» ありがとうございます。惚れていただけるなんて光栄です。更新頑張りますので、楽しみにしていてください(*^^*) (2019年6月6日 19時) (レス) id: 00e250021f (このIDを非表示/違反報告)
あいどんとすぴーくいんぐりっしゅ - え……なにこれ………めっちゃ好きなんですけど!!ヤバい!この小説に惚れる!いやもう惚れてる!更新楽しみにしてます!頑張って下さい! (2019年6月6日 18時) (レス) id: 7b91c6ec22 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:+アリス+ | 作成日時:2019年5月3日 17時

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