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二十六話【疑惑】 ページ27

「はああぁぁ……疲れた……」







迷路にいた間溜め込んだ緊張と疲れが溜め息と一緒に吐き出されていく。
そして座り込むと、天井をぼんやりと眺めた。






「他にも結構いますね、ゴールした人」


「そうみたい……」





二十人くらいだろうか。
もう半分以上がゴールしている。







「なら太宰さんたちもゴールしているでしょうね」






休憩を終えたAは立ち上がると、鏡花の同僚たちを探し始めた。
すると……。








「あっ、Aちゃん見っけ。ねえねえAちゃ〜」







既にゴールしていた太宰がAに駆け寄り、肩を叩こうとした。
だが触れられる前にAその手を掴むと、殺気を含んだ目付きで太宰を睨んだ。
掴まれた手首の骨が軋むほど強く握られ、「痛い痛い!」と太宰が悲鳴をあげる。








「また偽者ですか……」


「違う違う!本物だよ!」


「偽者はまず最初に必ず私に話しかけるんです」


「そうなの!?」







Aがふと考え込む。
偽者は自分達を迷わせるための罠だ。
もうゴールしたのなら偽者が出てきても意味がない。
つまりこの人は本物……と云うことなのか。







「……すみません、私の早とちりでした」







Aが太宰の手をパッと離す。
解放された太宰が自分の手首を擦りながら涙をこぼしていた。







「Aちゃんッて天然?冗談が通じない。あ痛たた……」


「すみません。でも太宰さんの日頃の行いが悪いからだと思います」


「辛辣!!」







Aは冗談が通じない。
だから鏡花もAを信じて抜刀しようとしていたくらいだ。








「太宰さ〜ん!勝手に居なくならないでくださいよ〜!」


「おお、敦君」


「おお、じゃないですよ。全く、心配したんですからね」








置いてけぼりにされたらしい敦と合流する。
その後ろに芥川と中也が続き、全員が揃った。
そして__






ゲーム開始から五時間。
迷路ゲームが終了した。

二十七話【大広間】→←二十五話【ゴール】



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+アリス+(プロフ) - 怪盗MOONさん» ふふふ、どうでしょうか……。此れからのお楽しみです。 (2019年7月21日 12時) (レス) id: 00e250021f (このIDを非表示/違反報告)
怪盗MOON - なるほど。道化師は異能力者で、此のデスゲーム、・・・日い、“脱落者ニハ死ヲ与ウル”は道化師の異能と云う事か・・・。(と、云うのが私の推測です。) (2019年7月20日 15時) (レス) id: b5aabf0ca5 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - あいどんとすぴーくいんぐりっしゅさん» ありがとうございます。惚れていただけるなんて光栄です。更新頑張りますので、楽しみにしていてください(*^^*) (2019年6月6日 19時) (レス) id: 00e250021f (このIDを非表示/違反報告)
あいどんとすぴーくいんぐりっしゅ - え……なにこれ………めっちゃ好きなんですけど!!ヤバい!この小説に惚れる!いやもう惚れてる!更新楽しみにしてます!頑張って下さい! (2019年6月6日 18時) (レス) id: 7b91c6ec22 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:+アリス+ | 作成日時:2019年5月3日 17時

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