二十二話【刺客】 ページ23
また二人になった。
「……ありがとうございます鏡花さん。
あのとき、私の意見を聞いてくださって」
それはAがわざとペンを落とし、手帳を置いた時だった。
鏡花のもとへと戻るとき、手帳の空欄を千切って手渡したのだ。
ー目の前の人間は偽者。でも手を出さないー
そう記されていたメモを鏡花は受け取っていた。
鏡花なら気付いていたであろうことを察していてのメモであった。
「人の居ない場所に誘い込むのが一番と思いまして」
もしも太宰が偽者なら、突き止めるために『誰も居ない場所』が必要だった。
他の人達の前で問題を起こさないためだった。
実際、この迷路で何人かとすれ違っている。
だからあえて此方側から誘導し、人目のない袋小路に向かった。
「鏡花さんなら気付いてくれると信じていました」
鏡花はコクりと頷く。
「あの人たちは私たちと遭遇できない」
「ええ、謎の壁が現れたときから、私達と太宰さん達は
『別の通路を通らないとゴールできない道』になっていました。
巡り会う時点で可笑しいんですよ」
Aは地図を取り出して自分達の通路をなぞった。
次に太宰達がいる場所からもゴールまでの道をなぞった。
どんなに道を外れても、自分達が同じ道を通ることはない。
既に理解していたのだ。
__この太宰は偽者だと云うことを。
「可笑しな点は他にもあったんですよ。
中原さんと仲が悪い筈なのに話題に出しても何も咎めなかった。
他の参加者の女性と遭遇しても口説かなかった」
初対面から僅か数時間しか経っていないがもう太宰の特徴を掴んでいた。
その観察力、作戦立案、思考力は並外れたものだった。
「さて、そろそろ不味いですよ」
鏡花とAは向こう側を見詰めた。
目線の先はあの壁だ。
自分達をわざと分裂させた謎の壁。
「この迷路、だいぶ罠が多いようです」
58人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
+アリス+(プロフ) - 怪盗MOONさん» ふふふ、どうでしょうか……。此れからのお楽しみです。 (2019年7月21日 12時) (レス) id: 00e250021f (このIDを非表示/違反報告)
怪盗MOON - なるほど。道化師は異能力者で、此のデスゲーム、・・・日い、“脱落者ニハ死ヲ与ウル”は道化師の異能と云う事か・・・。(と、云うのが私の推測です。) (2019年7月20日 15時) (レス) id: b5aabf0ca5 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - あいどんとすぴーくいんぐりっしゅさん» ありがとうございます。惚れていただけるなんて光栄です。更新頑張りますので、楽しみにしていてください(*^^*) (2019年6月6日 19時) (レス) id: 00e250021f (このIDを非表示/違反報告)
あいどんとすぴーくいんぐりっしゅ - え……なにこれ………めっちゃ好きなんですけど!!ヤバい!この小説に惚れる!いやもう惚れてる!更新楽しみにしてます!頑張って下さい! (2019年6月6日 18時) (レス) id: 7b91c6ec22 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:+アリス+ | 作成日時:2019年5月3日 17時