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「楽しかったわねぇダーリン」
家に帰ったジェベリアは白いドレスを着替えず、ソファに沈み込む。そのすぐ隣には、吸血鬼風のタキシードに身を包むジョンが座っていた。ジェベリアの頬を指の背で優しく撫でている。
酒に酔っている彼女はジョンの胸元に手をやってしなだれかかり、上目遣いになった。挑発するような視線を送る。
「天使ちゃん、着替えないと駄目だよ？」
ジョンはおかしそうに笑って、彼女のドレスを軽くつまんで見せた。ジェベリアは分かってるわよ、と口では答えるものの、その顔には不満がありありと見てとれる。
しかし何かに気付いたのか、ジェベリアはさっと素早くジョンへ身を預けるのをやめた。着替える素振りはない。が、ジョンの方を向こうとしない。そっぽを向いている。……少し、顔が赤い。
「どうしたんだい、天使ちゃん？」
「え？ああ……いえ、ちょっとね。ほら、見てみなさいよダーリン」
伏し目がちにジェベリアは自分のドレスと、ジョンのタキシードを指差した。
「……結婚式よ。思い出さない？」
どうやらジェベリアは互いの服装から結婚式を思い出していたらしい。なるほどね、とジョンは呟いた。確かにそう見えなくはない。
「照れているのかい？」
「まさか、そんなわけ。私はそこまで初でもないのよ」
「じゃあどうして顔が赤いのかな？」
「酒のせいよ」
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