買い物 ページ23
サリエルさんの説教からようやく解放されたあたし達は、売店に走っていた。
それにしたって、サリエルさんの説教の長さは異常だ。ちょっとぶつかっただけなのに、あそこまで怒る事はないと思う。後半は、もうぶつかった事とか全然関係なかったし。
もしかすると、元より不機嫌だったのかもしれない。それが爆発したのだろう、きっと。
「あ、魔法少女ちゃん!こんにちはぁ」
「梓さん……こんにちは。元気そうですね」
ようやく売店にたどり着いたら、やたらと人がいる。その中に、梓さんがいた。買い物の途中なのだろうか、香水や化粧品がいくつか入ったかごを手にしている。
……そうだ。梓さんにちょっと聞いてみよう。
「梓さん、最近職員さん達の様子がおかしいんです。おかしいっていうか、ギスギスしてるっていうか……どうしてか知ってたら教えてもらえませんか?」
「……うーん。梓にはわかんないなぁ。皆もいつも通りだし、どうして?」
少し間を置いて、梓さんはそう言った。あたし達から目をそらして。
本当に何も知らないのだろうか?そうじゃないような気がする。梓さんは、あたし達に何か隠しているんじゃないのか。
しかし、無理に聞こうとして警戒されるわけにもいかないだろうし、ここは無難に乗りきろう。
「そうですか。えっと、サリエルさんがすごく不機嫌だったから、なんとなくそんな気がしたんです」
「サリィちゃんが?でも確かにサリィちゃん、この時期怒りっぽくなるよね〜。まあいつも怒りっぽいんですけどぉ……えー、何でだろう?」
梓さんは不思議そうに呟く。どうやら、サリエルさんが不機嫌なわけは分からないらしい。けど、一つ妙な事がある。
この時期、という単語。サリエルさんはどうやら、特定の時期になるといつも以上に怒りっぽくなるみたい……職員さん達の空気と関係しているわけではないようだけど。だって、そうだとしたらさっきの質問に答えてくれたって良いじゃない。
「ありがとうございました」
「じゃあね〜」
買い物を終えて立ち去る梓さんを横目で見送りながら、いくつかの商品を買い物かごに入れる。一リットルのアイスクリーム、缶詰めのシーチキンを五つ、インスタント食品をいくつか、それと日用品も。
後は何がいるかなぁ。
何気なく、他の人を見る。皆はなぜか、保存の効く食料だとか、防災キットだとか……そんなのばかりを買っていた。
25人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ