人工物、あるいは人ならざる者 (ページ41)

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外伝27 ページ41

折角の休日だというのに、外は酷い大雨だ。不機嫌なジェベリアはソファにだらしなく伸びていた。

　その日はジョンと野外劇場で行われる演劇を見に行く予定だったのだ。しかし突然豪雨に襲われ、予定はキャンセルされてしまったのである。

「そう怒らないでよ、天使ちゃん。一緒に映画でも見ない？」

「……見る」

　ディスクが入っていると思しきパッケージとワイン瓶を抱えたジョンの提案に、ジェベリアは小さく返事。ジョンは頷き、再生機器にディスクをセットする。ジェベリアはありがとうダーリンと言い、起き上がってワイングラスやつまみの用意を始める。

　しばらくして、始まった映画をジェベリアは見る。しかしあまり興味を惹かれている様子はないようだ。グラスに注がれたワインを飲みながらチーズや生ハムなどのつまみを食べている。ジョンはそんなジェベリアの隣に座っている。ジェベリアと違い映画を見てはいるものの、わずかばかり退屈そうにしていた。

　テレビから流れる音声と、二人が酒盛りをする以外の音は何も聞こえない。

　ワイン瓶三本分の中身が消えた頃、ジェベリアは唐突に喋り始めた。その顔はほのかに赤く、目はやけにすわっている。口からは一筋唾液が伝っていた。

「わらひはねー、だーりんとえんげきみたかったのよー」

　呂律の回らない口調だ。どうも、酔っているらしい。

「だーりん、たのひみにひてたのにー……」

　それだけ言うと、ジェベリアは目を閉じてしまった。酔って、そのまま眠ったようだ。ジョンはジェベリアに毛布をかけてやった。