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目が覚めた。ジェベリアは起き上がる。自分はどうやら、湖の岸辺にいるようだった。生まれ変わった、らしい。エルシャ神により新たに作られた自身の肉体をジェベリアは湖を覗き込み確認しようとしたが、やめた。
なぜか、水が怖い。トラウマのせいだろうか。ジェベリアは違う、と思った。見たくないのだ。神経の形からして分かる。自分の身体は今、おぞましい形をしている。見たくなんてない、見るべきではない、何か。
皮膚をしたたるどろりとした粘液。やたらと広い視野。腕は明らかに増えている。太く長い尾がバランスをとって、ようやく立てるこの身体。口の中はやけにねっとりとしていて、しかも大小様々な柔らかいいぼが大量に存在していた。
ジェベリアはふと、空腹と、そして喉の渇きを覚えた。そして、それは水では決して満たされない事も何となく悟った。本能、だろう。
どこからともなく、食欲をそそる香りがした。血の匂いだ。ジェベリアはごぽごぽと唾液を吐き散らし、大きく咆哮をしたかと思うと、大きな翼をはためかせる。天使のような、純白で神聖なその翼。ふわりと浮き上がり、ジェベリアは匂いの方向へと飛び立った。
ジェベリアは生前の事をほとんど考えていなかった。エルシャ神はもちろん、友人の事すらも忘れて、飢餓を免れるためだけにその翼を広げた。
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夜(プロフ) - 素晴らしいお話、ありがとうございます。楽しみに待っています (2021年7月22日 13時) (レス) id: 1f55a4bce5 (このIDを非表示/違反報告)
つーちゃん - ください (2021年7月4日 14時) (レス) id: 84f4461b32 (このIDを非表示/違反報告)
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